雨に濡れたあじさいの美しい、梅雨の季節になりました。はっきりとした四季のある国に生まれた私たちは、この季節の変化ゆえに暮らしのなかにめりはりを享受しているのかもしれません。ところ変わって太平洋のど真ん中、ハワイ。「常夏の島」と枕詞がつくのが常ですが、実際にはきちんと季節の変化があるのです。
差はわずかながらも
ハワイでも春夏秋冬という表現を使う人は多いですが、わかりやすいのは雨季と乾季の違いです。おおよそ11月から4月ごろまでが雨季、5月から10月くらいまでが乾季とされています。ただ、絶対的に異なるのが、日本とハワイで降る雨の量。日本の梅雨の1カ月の降水量は、200㎜、300㎜…となりますが、ハワイでは一番雨が降る月でも100㎜を切るほど。雨の降り方も、日本のように一日中しとしと降り続くというよりも、一時的にざっと降って虹がかかるのがハワイ。また、気温の差も少なく、ホノルルの最高気温でいうと乾季が約30度、雨季が約25度ほど。おおよそ5度しか差がないので、夏と冬とで気温が20度以上も変化する東京とは大違いですね。
コナの斜面に降る雪とは?
ただ、この気温と降水量の変化があるからこそ、ハワイの自然で育つ植物たちも1年のサイクルをもっています。たとえば、アメリカ国内で唯一ハワイで商業生産されているコーヒーは、雨季の豊富な雨により1月から5月ごろまで真っ白な花が開花。世界三大コーヒーのひとつにも数えられるコナコーヒーの畑ではこれを「Kona Snow(コナの雪)」と呼びます。緑のコーヒーノキに小さな白い花がついた様子を雪に例えるなんて、南国の人たちもなかなかしゃれています。花から半年以上を経てコーヒーチェリーの実が育って赤く色づいたのち、収穫されるのです。
花は愛でるのみにあらず
季節ごとに咲く花をうまく利用しているといえば、はちみつメーカーがあります。ハワイ島のビッグアイランドビーズでは、年間通して3種類の単一蜜を収穫。冬から春先はマカダミアナッツ(写真)、春から初夏はオヒアレフア、夏の終わりから秋はウィレライキ(クリスマスベリー)と、花の開花に合わせて蜂の巣箱を移動することで、それぞれ個性の際立ったはちみつを採取しているのです。
再びハワイに行けるようになった暁には、その時期ならではの季節感を探して歩くのも楽しいかもしれません。そうそう、高い山があり1年中貿易風が吹くハワイでは、想像以上に地域ごとの気候差があるのも特徴。おでかけの際は、下調べを入念に。