いくつになっても、工場見学はわくわくします。しかもそれが、テイスティングもできちゃうお酒の工場だったら…? おとなだけに許された楽しみ。今日ご紹介するのは、カウアイ島にあるラム酒の蒸留所のお話です。
ハワイの恵みをとじ込めて
「コロアラム」は、2009年創業の蒸留所。ハワイ産のさとうきびと、カウアイ島ワイアレアレ山のピュアウォーターを原料に、メイドインハワイのラムを製造しています。約4580リットルもの容量をもつ銅製の蒸留器で丁寧に2回蒸留。「こうすることでクリアな味を実現しつつ、さとうきびのもつ自然な甘いフレーバーをほのかに残すんだ」。製造マネージャーのギャレット・ガンターが教えてくれます。
この数年で叶う夢
彼らには、もう少しで実現する夢があります。それは、新しい蒸留所のオープン。そのプランが冒頭の写真です。現在の工場は残念ながら一般に公開されていないのですが、新しい場所では見学ツアーが可能になるそう。1800年代から隆盛を極めたカウアイ島のさとうきびプランテーションに関するミュージアムも併設し、「すばらしい料理と共にラムを楽しめるレストランや、もちろんテイスティングルームも同じ場所にオープン予定だよ」と、うれしそうなギャレット。
畑からグラスまで
しかし、この場所でコロアラムにとってもっとも意味をもつことになるのが、さとうきびの畑。彼らは自分たちで畑を始め、そこで収穫したさとうきびを原料にラムをつくろうとしているのです。「どんなふうにさとうきびが育って、それがどんなふうにラムになるのか。ここに来ればそのすべてが見れる、そんな体験型の場所にしたいと思っているんだ」
ないなら自分たちでつくる
じつは、ハワイにおけるさとうきびの商業生産は、2016年を最後に終了してしまっています。地代も、人件費も、輸送費も、何においても経費のかさむハワイ。価格競争に負けて、さとうきび産業はその歴史に一度幕を下ろしたのです。
「いまはまだどうにか過去に購入した在庫の原料でまかなっているけど、メイドインハワイを続けていくためには、自分たちで動かないといけない」
そんな彼らの熱い思いが詰まった新天地は、2019年に工事が始まったばかり。完成までもう少々かかりそうですが、ラムのグラスでも傾けながらゆったり待とうではありませんか。