ハウズィット・ブルーイング(Howzit Brewing)のオーナー、ジャスティン・ヘイキネンとの話が終わる頃には、ひとつはっきりしていた。彼には、とにかくアイデアがたくさんある。2号店。生産量を増やすこと。キッチン。もしかしたらドイツのビアホール。もしかしたら日本。
比較的現実的なハウズィットの近い将来の計画もあれば、実現するかどうかもまだわからない、もっと大きなアイデアもある。でもハウズィットがこれからどうなっていくかをジャスティンが想像し始めると、話はどんどん進んでいく。
まず、ハウズィットにはもっとスペースが必要だ。
ジャスティンは生産量を増やし、いずれは2号店を、できればワイキキのどこかにオープンしたいと考えている。今のタップルームとは違って、次のハウズィットにはキッチンも入るかもしれない。
彼が考えているのは、巨大なメニューのあるブリューパブではない。シンプルなタバーン料理を、とてもおいしく作る。いいバーガー、ローカルの牛肉や鹿肉、ローカルの食材。「ローカル」はハワイではいつだって強い。同時に、ハワイにある店だからといって、何もかも無理やり「ハワイアン」にする必要はないとも考えている。
そしてジャスティンは、自分がそのすべてを決めるべきではないとわかるくらいには、食のことを知っている。以前の記事でも触れたが、ハウズィットについての彼の考え方は、これに集約されるように思う。
「適切な人を適切な場所に置いて、あとはその人たちに任せる」自分より食に詳しい人を見つけ、ちゃんと仕事ができる環境を与えて、いいものを作ってもらう。
それから、ドイツのビアホールのアイデアもある。
「ワイキキで本気のドイツ式ビアホールをやったら、絶対おもしろいと思う」
ジャスティンの頭の中には、すでにその光景がある。相席の長いテーブル。ビールは5、6種類くらい。知らない人同士が隣に座る、にぎやかな空間。ソーセージ、プレッツェル、シュニッツェル。ハワイにはドイツのビールや料理を楽しめる場所がほとんどないので、きっと歓迎されると思う。僕も大賛成だ。
ハワイを超えた構想も
でも、僕たちの会話の中で、ジャスティンの想像がたどり着いた一番遠い場所はワイキキではなかった。日本もある。しかも、いつかハウズィットのビールを日本に輸出できたらいい、というぼんやりした話ではない。日本版ハウズィットが実際にどんな形になるのか、ジャスティンはかなり考えているようだ。

ひとつの可能性は、東京から数時間ほどの場所に生産用のブルワリーを造ること。そこに小さなB&B(ベッド&ブレックファースト)か、何か宿泊できる場所を併設することも考えている。わざわざそこまで足を運んで、しばらく過ごしたくなるような場所だ。
そして東京の中では、逆にもっと小さくなる。
ジャスティンは、街のあちこちにある小さくて専門的なバーが大好きだ。何でもひとつの店に詰め込んだ巨大なハウズィットを作るより、それぞれ違う役割を持った小さな店をいくつか作ることを想像していた。
小さなラガーバーかもしれない。別の場所ではIPA。近くにはカクテルの店。話しているうちに、300平方フィート(約28㎡)ほどしかないバーの話まで出てきた。
僕自身、日本の小さなバーが大好きなので、このあたりからジャスティンが思い描いているものが特によく見えるようになった。
日本の人たちが、最初からハウズィットに関われる方法についても考えている。クラウドファンディングもひとつの可能性で、メンバーシップやクラブ、そのほかの特典をつけることもできる。でも僕がもっと興味を持ったのは、ジャスティンがその理由をどう話したかだった。
「みんなが少しでも、自分たちのものだって感じられたらいいと思う。『ああ、これは俺たちのものだ』って」
そう考えると、日本のハウズィットという可能性がもっと面白くなる。ビールと一緒にハウズィットが日本へ渡り、そこに集まる人たちがその場所にも愛着を持っていく。
ジャスティンは、ハウズィットがやっていることを楽しんでくれる人たちが日本にいるとも考えている。
自分が日本を訪れた経験の中で、きちんと作られたものに日本の人たちが向ける関心の強さが印象に残っているという。本当にいいものなら、それをわざわざ探し、夢中になってくれる人たちがいると彼は考えている。
「日本のお客さんは、本当にクオリティーを大切にする」
もちろん、明日ハウズィット・ジャパン(Howzit Japan)がオープンするという話ではない。ジャスティンには、まずハワイでやりたいことがまだたくさんある。僕たちが話している間も、実際に検討していることと、いつかやってみたら楽しそうだと思っていることの間を、彼のアイデアは自由に行き来していた。でも日本も、ただふと思いついただけの話ではない。
「日本は、やりたいことのリストのかなり上にある」
会話の終わり近くにその言葉を聞いたのは、なんだかしっくりきた。
ハウズィットが始まった理由のひとつは、ジャスティンが何年もハワイに戻りたいと思っていたことだった。そして最終的にブルワリーを開くことが、以前彼が僕に話してくれたように、「それを実現するための口実」になった。
今、ここハワイで自分が作ったブルワリーの中に座りながら、彼はもう、そのブルワリーが次に自分をどこへ連れていくのかを考えている。そしてどうやら、日本はそのリストのかなり上にある。
By Solario (アーティスト、シセロン資格保持者)
※この連載のコントリビューターであり、アーティストでビールのソムリエ・シセロン(Cicerone)の資格保持者でもあるSolarioについては、こちらからどうぞ。
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