ハウズィット・ブルーイング(Howzit Brewing)のオーナー、ジャスティン・ハイキネンとしばらく話していると、彼がビールそのものと同じくらい、人が心から時間を過ごしたいと思える場所をつくることにも強い関心を持っているのだと気づき始めた。
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ハワイへ帰るためのビールは、クラフトビール界で新しい存在を発揮 Howzit Brewing
近年、アメリカでは、社会学者たちが「サードプレイス」(NOTE: “third spaces” in English)と呼ぶもの――家庭と職場の間に存在するカフェやバー、公園、そして近所の人たちが集まる場所――の大切さが、以前にも増して意識されるようになった。こうした場所が少しずつ姿を消し始めるにつれ、そこで育まれてきた何気ない会話や地域とのつながりもまた失われつつある。
ジャスティンは、その減少を嘆くよりも、自らそういう場所をつくることを選んだのだ。
「ここへは、この場所を楽しんでもらいたくて来てほしいんです。もちろんビールは大切です。でも、人がリラックスして、のんびりして、一緒に時間を過ごせる場所にもしたいと思っています」
立ち寄る理由があるという存在感
話を続けるうちに、これはジャスティンが単に語っている理念ではないのだと気づいた。会話に引き込まれていくにつれ、その考え方が私たちのまわりのあちこちに現れていることが見えてきたのだ。
ハウズィット・ブルーイングでは、ある日はピザのポップアップを開催し、ある日は地元のタコス店を迎え、またある日はハワイの別のブルワリーとのコラボレーションビールがお披露目されているかもしれない。壁には地元アーティストの作品が定期的に展示され、毎週のカラオケナイトもタップルームの日々のリズムの一部になっている。どれも単発のイベントや宣伝のための企画には感じられない。それらが重なることで、「今週もう来たけれど、また立ち寄る理由がある」と感じられる空気が生まれている。

そんな空間をどうやってつくっているのか尋ねると、ジャスティンは笑う。
「やったことといえば、ふさわしい人をふさわしい場所に置いて、あとはその人たちに任せただけなんです。そうすれば、自分自身が『ここで過ごしたい』と思えるような場所になってくれる。そのことを誇りに思えればいいんです」
その答えを聞いて、多くのことが腑に落ちた。その頃には、私自身も午後の時間を忘れかけていたからだ。
カレンダーに載っているイベントだけではない。ジャスティンの考え方は、多くのお客さんがおそらく気づかないような、小さな判断の一つひとつにも織り込まれている。どんなに小さな選択でも、いつも同じ問いが基準になっている。「それは人をつなげるのか。それとも、その邪魔をするのか」
話をしている途中、ジャスティンはハウズィット・ブルーイングには絶対に取り入れないものが二つあるのだと笑いながら話してくれた。QRコードでの注文と、デジタルメニューボードだ。
彼はテクノロジーそのものに反対しているわけではない。実際、新しいソフトウェアをつくったり、技術革新について話したりすることを心から楽しんでいるようだ。ただ、彼はテクノロジーは人と人とのやり取りを支えるものであるべきで、それに置き換わるものであってはならないと考えている。
「飲みに行くなら、バーで知らない人同士が話していてほしいんです。バーテンダーとも話してほしい。人生を楽しんでほしい」
多くの店が効率を重視する時代にあって、ジャスティンがより関心を寄せているのは、人が少し立ち止まって過ごしたくなる理由をつくることだ。彼の考え方は驚くほどシンプル。いいビールをつくること、面白い人たちを迎えること、そして自然と会話が生まれる場所をつくること。
人をつなぐ心地よい場所
話を聞きながら、こうしたことはどれも偶然に生まれているわけではないのだということが、少しずつはっきりしてきた。その裏側には、数え切れないほどの細かな判断や丁寧な準備、そして人に対する本気の思いがある。けれど、お客さんとしてそこにいると、そのことを意識する場面はほとんどない。
ブルワリーをあとにする頃になって、あの日の午後、私が一番楽しんでいたものが何だったのかに気づく。もちろんビールは素晴らしく、とりわけよく冷えたイタリアン・ピルスナーはすっかり気に入ってしまった。でも、一番心に残ったのは、「あと一時間くらい、このままここにいてもいいな」と何のためらいもなく思っていた、その感覚だった。
あとになって初めて気づいたのだが、私はあの午後を通して、ジャスティンがずっと話していたことをそのまま体験していたのだった。
彼の言葉を借りるなら、
「ビールは人をつなぐものなんです。クラフトビール、いい雰囲気。ありのままで来て、楽しんでください。」
By Solario (アーティスト、シセロン資格保持者)
※この連載のコントリビューターであり、アーティストでビールのソムリエ・シセロン(Cicerone)の資格保持者でもあるSolarioについては、こちらからどうぞ。
ビールソムリエ・シセロン有資格者多才なソラリオのアートがおもしろい





