ハウズィット・ブルーイング(Howzit Brewing)のオーナー、ジャスティン・ハイキネンが故郷ホノルルに戻り、ブルワリーを開いた時、驚いたことのひとつが、バーやレストランがタップ(生ビール)に何を選ぶかということだった。
「一番驚いたのは、ここのバーやレストランはいつも同じビールを置きたがるってことだった」と彼は話してくれた。
それは、ジャスティンが知っていたパシフィック・ノースウェストのビール文化とはかなり違っていた。
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ハワイへ帰るためのビールは、クラフトビール界で新しい存在を発揮 Howzit Brewing
彼が例に挙げたのは、オレゴンのブルワリー、フォート・ジョージ(Fort George)だ。看板商品のIPAは、その地域ならほとんどどこでも手に入る。いいビアバーなら、そのおなじみのIPAが必ずタップにつながっているとは限らない、とジャスティンは説明する。その代わりに、限定ビールや入れ替わりで登場するビールなど、近所のスーパーでは簡単に買えないものを選ぶことがある。
ハワイは少し違った。ジャスティンが出会ったレストランやバーの中には、あるビールが売れると、そのままずっと同じものを出し続けたがる店もある。いろいろ飲みたい、ちょっと冒険好きなローカルにとっては、まあ、退屈だ。
彼が聞いた理由のひとつは単純だった。ビールを変えれば、メニューも変えなければならない。そう話しながら、ジャスティンは笑った。
「じゃあ、料理も一年中ずっと同じにすればいいんじゃない?」
僕自身、カクテルとビールの世界にいたので、そのもどかしさはよくわかる。ハワイには今まで以上に、いいビールを造るブルワリーが増えた。それでも僕が好きな店に飲みに行くと、同じローカルビールを何度も見かけることがまだ多い。
旅行でハワイを訪れる人には、それがローカルのビールシーンを少し誤解させることもある。
レストランやホテルで見かけるおなじみのハワイのビールは、もちろんローカルのものかもしれないし、おいしいものもある。でも、それはハワイのブルワリーが実際に造っているビールのほんの一部だ。それ以外を見たければ、時にはブルワリーまで直接行ってみる必要がある。
発展途上のハワイクラフトビール市場
ジャスティンは、クラフトビール市場としてのハワイはまだ比較的若いと考えている。カリフォルニア、オレゴン、ワシントンなどと比べると、ローカルの好みは時に10年、ああるいは15年ほど遅れていると感じるそうだ。
少し厳しく聞こえる。でも、話を聞いていくと、彼の言いたいことはもう少し複雑だった。
ジャスティンは子どもの頃、インターネットがあらゆる場所を一瞬でつなぐようになる前のドイツで暮らしていた。車でたった1時間ほど移動するだけで、スタイルも、地元の会社も、人々のファッションも違っていたことを覚えている。それぞれの場所が、それぞれの個性を育てる余地がもっとあった。
ハワイにも、もちろんみんなと同じインターネットがある。でも僕たちは今も、太平洋の真ん中にある島々にいる。流行が少し遅れてやってくることもある。その頃には最初の盛り上がりがもう落ち着いていて、それでもハワイではそのまま残り、もう少し定着していくこともある。ジャスティンは、少し「使い捨てじゃない」ことにも価値があると感じている。
ただ、自分たちのペースで進むことと、まったく変わらないことは違う。
ハワイのビール文化は変わってきているとジャスティンは感じている。ハウズィット・ブルーイングでも、お客さんが少しずつ冒険するようになるのを見てきた。
「時間をかけて人と付き合っていくと、その人の味覚が少しずつ形づくられて、新しいものにも心を開くようになる。それは確かに見てきたよ」
最初は知らないビールをひとつ試してみる。また来て、別のものを試す。そのうち、いつも知っているビールを欲しがっていた人が、「今日は何が新しい?」と聞くようになる。

ハウズィット・ブルーイングだけではない。ジャスティンは、ハナ・コア・ブルーイング(Hana Koa Brewing)やビア・ラボ(Beer Lab)のように、お客さんが定期的に違うビールに出会えるブルワリーの名前も挙げた。よくできたビールを試す機会が増えるほど、飲む側の期待も少しずつ変わっていくのだ。
パシフィック・ノースウェストでも、もっと長い時間をかけて似たような変化が起きるのを彼は見てきた。ジャスティンが育った頃、大人たちが飲んでいた地元のビールといえばレーニア(Rainier)やオリンピア(Olympia)だった。それがやがて、ローカルビールは彼の言う「ノースウェストの文化の一部」になっていった。
一晩でそうなったわけではない。ハワイでも、すぐにそうなるとは彼は思っていない。
だから、ハワイを訪れて、今のローカルビールシーンを自分で体験してみたいビール好きに、僕からひとつおすすめがある。
ブルワリーに行ってみてほしい。
ハウズィットへ行く。ハナ・コアへ行く。ビア・ラボへ行く。その日、何がタップにつながっているか見てみる。バーテンダーと話す。ホテルのメニューでは見たことのないビールを頼んでみる。僕の経験では、ビール業界で働く人たちは、今まで出会った中でも特にフレンドリーで、温かく迎えてくれる人たちだ。
そして何より、ほかでは飲めないおいしいビールが飲める。
By Solario (アーティスト、シセロン資格保持者)
※この連載のコントリビューターであり、アーティストでビールのソムリエ・シセロン(Cicerone)の資格保持者でもあるSolarioについては、こちらからどうぞ。
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