「板チョコを食べる時にさ、ひと口だけ食べたいのに、一列分全部折るしかないのって、ちょっと嫌じゃない?」
新しくなったマノアチョコレートのバー。なぜこのデザインになったのか聞くと、オーナーのディランはそう話し始めました。
「僕らの新しいバーデザインは、三角形が特徴。これなら、食べたい分だけ三角形に折って、残りのバーは傷つけずにすむでしょ」
なるほど、言われてみれば確かにそうです。一般的に板チョコといえば、縦横にラインの入った、四角い形がベース。これだと食べたい量にかかわらず、まず一列分をすべて折り取ってしまうほかありません。
「三角形ひとつで約5g。これならひと口にちょうどいい」
なんとスマート。ですが、なぜこれまでこのことに誰も気づかなかったんだろう…。そんな気さえしてきます。
ワイン片手にディスカッション
新しいバーデザインに取り組むきっかけになったのは1年前。生産量の増加に伴い、全自動の成型機の導入を決めたときだったといいます。
「このマシンでは、これまでと同じ成型ができなかった。なので、いい機会だと思ってデザインを一新することにしたんだ」
それまでも、食べる分だけ折りたい、というお客さんからの声があったそう。ディランと弟のカルソンは、ナプキンの端にラフスケッチをしてデザインを考えたというから、なんともカジュアル。
「そうだね。今回のプロジェクトは、すごくスムーズに運んだよ。仕事のあとにワイングラス片手にわいわい、どうしたらもっと良くなるかって話し合ってた感じ」
いい商品は、いい時間から生まれるというわけです。
良き伝統は継承しつつ
「ちょっとだけ悩んだのは、もともとのデザインでもモチーフにしていたポリネシア伝統のカパ柄をどうやって取り入れるか。あと、折るためのラインの深さの調整かな」
最終的にはいとこのテイラーによるブラッシュアップにより、思い通りのすばらしい出来になったといいます。
「お客さんからの評判もすごくいいよ! 日本のお客さんにも、感想を聞かせてほしいな」
ディランの自信作、ぜひ実際に「パキッ」と、試してみてください。