ハワイと聞いて、思い浮かべるのはなんですか?
「青い海に、ハイビスカス、やしの木!」
そう答える方は多いかと思います。でも、そんなイメージのなかに登場する植物、そのほとんどがハワイ原産のものではないと聞いたら少々びっくりだと思うのです。
ココナッツ、無敵説
ハワイはもともと無人島。そこに1500年ほど前から、ほかのポリネシアの島の人々がカヌーでやってきたのが最初の住民だといわれています。彼らは移住と同時に、さまざまな有用な植物を持ち込みました。その際にカヌーで運ばれたことから、「カヌープランツ」と呼ばれる植物が20種余り存在します。冒頭に挙げた「やしの木」の代表格「ココナッツ」もそのひとつ。ココナッツウォーターは緊急時の飲み水、果肉は食料、またオイルを絞ることも可能。硬い殻は食器づくりに、繊維質豊富な外側の皮は縄、葉は家の屋根やうちわ、バスケットに加工、幹は家づくりやカヌーの材料という具合に、もう、無駄になるところがひとつもないのです。
あの子も、この子も…
ほかにも、さとうきび、バナナなど、南国のイメージを代表する農作物もカヌープランツです。さらには伝統食「ポイ」の原料「タロイモ」、その実がレイにも使われる「ククイ」、魔よけや浄化の効果があるとされる「ティー」、これらもみんな、遠い昔にカヌーに乗って大波小波を越えてやって来た仲間たち。カヌープランツ以外でも、レイでおなじみの「プルメリア」はカリブ海や南米原産、リリコイ(パッションフルーツ)はブラジルが原産で、ハワイにはオーストラリアから持ち込まれたという説が有力、ピカケ(ジャスミン)はインド原産など、挙げ始めればきりがありません。
希少な固有種もあるんです
じゃあ一体ハワイ原産のものは何があるの?という話になるかと思います。たとえば、とても硬い性質で知られるコアウッドは、ハワイの原産。その特徴を生かし、カヌーやサーフボード、家具作りに重宝されてきました。また、ハワイ島の花であり、溶岩で覆われた大地で最初に生えてくる力強い植物のひとつ「オヒアレフア(写真)」、これはハワイ原産かつ固有種。ハワイでしか出会えない珍しい植物です。ちなみにこのオフアレフアからとれるはちみつは、一般的なものとはまったく異なる結晶化したホワイトハニー。そのユニークな味を楽しみながら、植物たちが越えてきた悠久の時に思いを馳せるのも一興ですよ。