2019 11.15 fri

ザ・オールマイティ!
ハワイ州の木
ククイツリーの秘密

Have You Ever Heard of Kukui?
Amazingly Useful Tree in Hawaii
MAUI UPCOUNTRY JAMS AND JELLIES

「あれはククイよ」
マウイ島の高原地帯クラでジャムやシロップ、マスタードをつくる「マウイアップカントリー」のジャン・ヨコヤマが、庭の端で枝を広げる大きな木を指さして教えてくれます。グアバ、マンゴー、スターフルーツなど、 秋の収穫時期で果実がたわわに実る畑を案内してもらっていたときのことでした。日本ではあまりなじみのないこのククイですが、ハワイ諸島ではそこかしこで見ることができる非常に一般的な樹木です。

じつは転校生なんです

1959年にはハワイ州の木に、さらにそれより前の1923年にはモロカイ島の木に制定されているククイ。10mから大きいものは20mほどに成長し、葉は白っぽく、遠くから見てもとても目立ちます。じつはハワイの原産ではなく、ほかのポリネシアの島々から持ち込まれたもの。それは、ククイがじつに有用な樹木だったからなのです。

別名、「キャンドルナッツ」

「この実はね、燃えるのよ」
ククイの英名は「キャンドルナッツツリー」。その名が表すように、実の中の白い部分は約50%が油分のため、簡単に火がつきます。かつての人々は大事な燃料源としてククイを重宝していたのです。燃やしたあとに出るすすは、魔よけのタトゥーにも使われていたとか。オイルは燃やすだけではなく、ハワイのマッサージ「ロミロミ」でも活躍します。さらに、磨くと独特の光沢が出る種の部分をつなぐと、首にかけるレイに。レイというと花を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、黒い木の実のようなバージョン、といえばもしかしたら記憶の片隅に思い出されないでしょうか。

葉、茎、根、幹も

ククイは食用もされていました。実の白い部分を塩と一緒に炒めたものは「イナモナ」と呼ばれる調味料に。まぐろなどのシーフードとねぎや海藻を和えるハワイの人気メニュー、ポケの味付けなどにも使われます。そして活用されるのは、実の部分だけではありません。葉や茎、根も、薬や染料として活用。幹はカヌーや漁の浮きなどの素材としても有効利用されています。もう、本当に余すところなくハワイの人々の役に立ってきたのがククイの木なのです。

ジャンさんもククイを何かに使ってるの? 聞いてみると、
「ううん、なーんにも! ただそこに生えてるだけって感じね(笑)」
こんなに便利な木なのに…。と思いつつも、そんな豊かな自然の恵みがあちらこちらにあふれているのが、このハワイという場所の魅力なのだと改めて思い知らされるのでした。

この商品にまつわる出来事

BRAND ブランド紹介

MAUI UPCOUNTRY JAMS AND JELLIES
マウイアップカントリー マウイ島

マウイ島、ハレアカラ山麓のさわやかな高原エリアにある小さなジャム工房。畑で育てるフレッシュフルーツを中心とした素材を使って、ジャン・ヨコヤマがジャムやシロップ、マスタードなどをつくっています。彼女のキッチンで手づくりされる商品の数々は、くだもの・野菜本来の味わいを生かしたどこか懐かしい素朴な風味です。