飛ぶ鳥を落とす勢いのクラフトチョコレートメーカー「マノアチョコレート」。オアフ島カイルアタウンに工場兼ショップを構えています。若き創業者ディラン・バターボーのアイデアと情熱により、ブランドスタートからのこの10年で急成長。DFSでもずらりと商品が並んでいるのを目にします。
仲間で協力、がハワイ流
ハワイでは、カカオの研究が進みその栽培に挑戦する人も増えてきました。それに比例して小さなチョコレートブランドも増加傾向。カイルアの少し北、ワイマナロでカカオファームを運営する「21ディグリーズエステート」もそのひとつです。退役軍人マイケルと奥様のマリアで営む小さなブランド。彼らのチョコレートの製造を請け負っているのがマノアチョコレートです。
試行錯誤もまた楽し
「カカオは水はけのいい土壌を好むんだ。この土地には自然な傾斜があるのでそれを利用しているけど、いまちょっと1か所水たまりになっちゃうところがあってね。試行錯誤してやってるよ」
マイケルがじつに楽しそうにそう話します。最近では単一産地のビーントゥバーや、品種にこだわった商品も増えてきているチョコレート業界。まだまだ謎の多いカカオの生態についての研究も進みつつあります。
自らを断ち、自らを育てる
カカオは冒頭の写真のように、幹に直接花が咲き結実する「幹生花(かんせいか)」という種類。ここにそのままラグビーボールのような実がなる様は、なんとも興味深い光景です。
「カカオはね、自分で間引きのようなことをするんだよ」
たくさんの花からたくさんの小さなラグビーボールがつきますが、健康なものを残してほかは小さいまま、黒く干からびていきます。こうして栄養を凝縮して自らヘルシーな実を作り出すのだといいます。
業界を支える小さな存在
「カカオの花の受粉を手助けする虫は、なんだか知ってる?」
マイケルがにやりとしながら質問を繰り出してきます。それしか思いつかずに「みつばち?」と答えると、NO、とうれしそうなマイケル。
「蚊の一種なんだ。カカオの花はとても小さくて、これを受粉するのは特定のこの虫だけなんだよ。だから、彼らがいなくなったらチョコレートはつくれない」
小さな虫に、私たちのスイートタイムが支えられていたとは! 南国のファームの真ん中で、また新しいことを教えていただきました。