かつて多くの日本人がハワイに移住したことは知られていますが、その第一陣が海を渡ったのはおよそ150年も前のお話。最近では、4世、5世、6世なんて方に出会うことも多く、長年にわたり紡がれてきたその歴史を心底感じます。
カウアイクッキー、ここから始まる
メーベル・ハシサカは、日系2世。1904年に移住したフクタロウと、彼と結婚するためにまだ見ぬハワイを目指したヒサとの間に、5人目の子どもとしてカウアイ島で生まれました。1965年の創業以来50年以上続く島の人気ブランド、「カウアイクッキー」の創業者です。御年91歳の彼女にお目にかかることが叶ったのは、2019年9月に福島県いわき市で開催された「いわきカウアイオハナフラフェスティバル」。2016年に国際姉妹都市提携を果たした2都市の友好イベントとして開かれたものです。
ウクレレからハワイの風
「アンが、一緒に来てって、言いました」
さも現社長である娘のアンに頼まれてしょうがなく今回来た、というような口ぶりですが、実際は5年ぶりの来日をとても楽しんでいるよう。脇には愛用のウクレレ。ふとメーベルがつま弾くと、アンやほかにも同行しているカウアイの人々が自然と歌い始め、訪れたいわきの方々も笑顔で足を止めています。
伝説のお父さんのお店
「お父さんは、島で、お店を始めました。まだ、車は少ない。歩いて買い物をするから、島に8つ、たくさんお店つくりました」
かつて両親が話していた懐かしい日本語を思い出しつつ、家族のビジネスについてゆっくりと話してくれます。このフクタロウ父さんの始めた雑貨店、島で初めて現金取引を始めたお店で、ものすごいパイオニアなのですが…そのお話はこちらから。
お気に入りはナッツ入り
雑貨店から、なんでクッキー屋さんを始めたの? 素朴な疑問をぶつけてみました。
「野菜とか、いろいろ、売っていました。残ったら、料理、弁当にして売る。それで、デザートも出そうと。何か甘いものを。それで、クッキーを、焼きました」
そのクッキーが評判を呼び、現在のブランドにまで育ったのだといいます。一番お気に入りのクッキーはなんですか、と聞くと、「マカダミアナッツが入っているのがいいね」と、満面の笑顔を見せてくれました。
堅実な日本のおばあちゃんと、穏やかなハワイらしいキャラクターを掛け合わせたようなチャーミングなメーベル。彼女のアロハが詰まったクッキー、ぜひ一度味わってみてください。