2019 05.28 tue

「シャシンハナヨメ」
写真だけで結ばれる?
100年前の結婚の形

”Shashin Hanayome” Used To Be Common in Hawaii
Brides and Glooms Never Met Before Their Marriage
KAUAI KOOKIE

「シャシンハナヨメ」
カウアイクッキーのアンから家族のお話を聞いていたら、そんな言葉が何度も出てきました。確実に日本語ですが、馴染みのなかったこの言葉。100年ほど前にハワイに移住してきた移民の間で頻繁に行われていた、本人たちの対面なし、写真と情報の交換のみで決められていた結婚のことなんです。

始まりはキング・カラカウアの政策

19世紀の後半、当時のハワイ王朝・カラカウア王は世界各国を訪問し、国内の労働力強化のために海外からの移住を推奨しました。そのため、日本を含む多くの国にビザを発行。これが多くの移民を生んだ背景です。ひと旗あげようとハワイに移住した男性と、一度も対面することのないまま写真の交換後に結婚の手続きをし、そしてハワイにやってくる若い日本人女性がたくさんいたといいます。アンのおばあさん、旧姓オカベ・ヒサさんもそんな「シャシンハナヨメ」でした。

他人の写真がお見合い写真!?

男性の多くはすでに何年かハワイで生活をしており30代から40代が多数だったのに対し、女性の多くは10代、20代。男性は写真しか交換しないのをいいことに、自分の若いころの写真を使ったり、他人の車の前で借り物のスーツを着用、中にはまったく別の人物の写真を自分と偽って提出する人もいたというから驚きです。「うちのおじいちゃん、フクタロウに限ってはそんなことはなかったわ。『シャシントオナジ』だったって。おばあちゃんはそう言っていた」。アンが祖父母の思い出を語ってくれます。

フィールドワーカーから社長へ

当時の移民の多くは、さとうきびプランテーションで過酷な仕事をしていました。しかしそこから自らの事業を始める人たちも。フクタロウとヒサも、さとうきび畑から湾岸作業員の仕事を経て、雑貨店をオープンしました。それが島で初めての現金取引の店だった、というサクセスストーリーはこちらから。
さとうきび栽培が盛んだったカウアイ島は、ハワイのなかでも日系移民の多い場所。歩いていると「コンニチハ!」なんて気軽に声をかけてくれる現地の方にもちらほら出会います。そんなときには笑顔で「こんにちは!」と返しつつ、彼らの先代が乗り越えてきた歴史に少しだけ思いを寄せてみてください。


BRAND ブランド紹介

KAUAI KOOKIE
カウアイクッキー カウアイ島

1965年に日系2世のメーベル・ハシサカが創業した老舗クッキーブランド。始めは家族の経営する食料品店でお客さんのために焼き始めたというクッキーでしたが、いまやハワイを代表する人気ブランドに。ドレッシングのラインナップも立ち上げ、20年以上にわたりそのトロピカルなフレーバーを届けています。現在はメーベルの娘、ルースとアンが運営。