「世界中においしいものはあるけれど、やっぱり国や地域ごとに味の好みって、違ったりするよね」
どうしました、ボビー青木さん。元ハワイアンレストランのシェフの腕をもってしても、料理を提供するうえで何か悩みでもあるんですか?
甘みだけじゃない、砂糖の苦悩
「いや、悩みってほどのものではないんだけどさ。bowlでは、ハワイから食材や調味料を輸入して、日本の皆さんにお届けしているじゃない? でも、そのままだとどうしても日本の家庭の味にはなじまないかも…ってものがあって。これなんだけど」
フォージェイズハワイ、オアフ島のフレーバーソルト屋さんですよね。私、ここのお塩は大好きですよ。
「そう、お塩は問題ないんだけど、今度取り扱うこのステーキ用のシーズニング、じつは結構な量の砂糖が入ってるんだ」
お肉用の調味料に砂糖? ちょっと失礼して味見…たしかに! かなり甘いですね。
「そうなの。だからね、メーカーと交渉して、日本用に砂糖を抜いたものを特別につくってもらったんだ」
すごい! 水面下でそんな交渉までしていたとは…。ボビーさん、ビジネスマンですね。
「でもね、砂糖が入っている理由って、じつは味だけじゃないの。アメリカで一般的なかたまり肉にすり込むことを想定したときに、肉の保湿をする役割もあるんだよ」
え! じゃあ、完全に砂糖抜きっていうのも、考えものってことですか?
「そう。だからね、日本ではお好みの量だけ砂糖を自分で加えて料理してもらったらどうかなって。そのときにどんな種類の砂糖が合うのか、今日は実験してみようと思うんだよ」
上白糖、三温糖、黒糖…その違い?
「今日の分量は、シーズニング5に対して、砂糖が2。これは、僕がベストだと思う配合なんだけど、あくまで目安として、みんなの好きな味を見つけてほしいと思う。その作業も、楽しいじゃない?」
たしかに。そして今日用意してくれたのは、3種類の砂糖ですね。一般的に見かけることの多い上白糖。その上白糖をつくる際に出る糖液を煮詰めてカラメル化させた、三温糖。そして、さとうきびの搾り汁をそのまま煮沸濃縮、冷却した、黒糖。
「それぞれの砂糖をミックスしたシーズニングで、豚を焼いてみるよ。味が淡白だから、違いがわかりやすいと思うんだ」
うーん、いい匂い。では、まず上白糖から。うん、おいしい。けど、これだけだと比較対象がないのでわからない…。三温糖いってみます。お、ちょっと香ばしい香りがプラスされました。これ、好きです!
「本当だね。それに比べると、黒糖はちょっと砂糖の個性が強すぎるかな」
そうですね。黒糖の味わい深さに、豚肉が押され気味な印象。
「じゃあbowlのおすすめとしては、三温糖だね! でも、繊細な味の違いだし、皆さんの好み次第でいろいろアレンジしてもらっちゃって全然いいと思う。配合の比率含めてね」
ですね。あ、でもこれ、肉の種類によっても砂糖との相性が変わってきそうですよね。牛肉、鶏肉でも試してみませんか?
「いいこと言うねぇ。じゃあ、次回も引き続き実験だ!」