「昔は料理は全然だったわ。母には、『電子レンジがあなたの一番のお友達ね』ってよくからかわれていたくらいよ(笑)」
オアフ島でフレーバーソルト、シュガーを製造する「フォージェイズハワイ」のジャニス・タンガ(写真右、左は息子のジョナサン)はそう言って笑います。結婚してから初めて、母親の料理する様子を見て勉強、兄弟からもアイデアをもらうようになったといいます。
「一番上の姉が精肉店で働いていて、調理師学校に行った弟もいたから、みんなで一緒にレシピを考えたりしていたわ」
始まりはお姉ちゃんのレシピ
子育てをしながら、事務の仕事をしていたジャニス。
「あるとき、姉のレシピで『クリスピーポイモチ』をつくって職場にもっていったの。そしたらすごく評判が良くて」
「ポイモチ」というのは、タロイモを蒸してすりつぶしたハワイの伝統食「ポイ」と、日本のお餅を組み合わせて揚げたハワイで人気のスイーツ。作り方を教えてほしいと言われたジャニスですが…「レシピは秘密、っていう姉との約束だったの」。そこでひらめきます。
「乾燥材料をすべてミックスして保存袋に入れて、調理の仕方を添えてみんなに配ったの。これならレシピを全部公開せずに済むから」
ジャニスのポイモチミックスはたちまち大人気に。彼女は自分のブランドを立ち上げることを考え始めました。そして2001年に最初に作ったのが「ポイパフミックス」という商品だったのです。でも、そこからなぜフレーバーソルトをつくることになったのでしょうか。
衝撃のビーフシチュー事件
「ある年のクリスマス、ハワイアンの友達が塩をプレゼントしてくれたの。ガーリックソルトよ。ビーフシチューを作るときに、肉にこの塩を何つまみかまぶして焼いてから煮込むといいわよって。そうしたら…ビーフシチューはそれまでも何度もつくったことがあったけど、信じられないくらいおいしかったのよ!!」
フレーバーソルトの可能性に目覚めたジャニス。自分なりの味を開発したいと、まずは図書館に行って資料を片っ端から読みあさったといいます。そうして生まれたのがガーリックソルト。さらにハワイアンチリペッパー、ヒッコリースモーク、キアヴェスモーク、マウイオニオンといった新フレーバーが続きました。
ジャニスにとってお料理とは? 最後に聞いてみました。
「私は、誰かと何かをシェアすることが大好きなの。シェアして、家族や、友達をハッピーにする。それが私にとってもお料理なんだと思うわ」