ハワイみやげの常連、フレーバーコーヒー。自分で買ったことはなくても、友人から贈られたことがあるという方も多いと思います。
「コーヒーとしては、ちょっと邪道だと思っていませんか? だとしたら、それは大きな間違い。通常のレギュラーコーヒーと同じように、抽出方法にちょっと配慮すれば、格段においしく、自分好みに淹れられるんです」
そう話すのは、コーヒーを知り尽くしたプロ、ロッシ国枝さん。それではさっそくそのテクニックを伝授していただきましょう。
豆とフレーバーのバランス次第
「フレーバーコーヒーの抽出でもっとも注意すべきは、コーヒーの味とフレーバーのバランスです。そこで重要になってくるのが、基本の抽出セオリー。高い湯温ほど、コーヒーの味はより濃厚に。温度が下がるに従い、まろやかな味わいになるという原則を思い出しましょう」
一般的に、コーヒー抽出に最適といわれる湯温は92℃。ですが、この温度でフレーバーコーヒーを抽出した場合、コーヒーの味わいのほうが強くなり、せっかくのフレーバーをあまり感じられない可能性があると国枝さんは話します。
「これを、たとえば88℃程度に落としたお湯で抽出してみます。すると、抽出されるコーヒーの苦みが若干軽減されるため、よりフレーバーに感じやすくなる。フレーバーの香り自体は変わらないのですが、コーヒーの味の強弱をコントロールすることで、仕上がりのバランスががらりと変わるんです」
フレーバー重視なら「浸漬式」
さらには使用するドリッパーを替えることで、フレーバーの強さも調整できると国枝さんは続けます。
「一般的にフレーバーコーヒーの香料は、コーヒー豆の表面に付着している状態です。要は、これがより溶け出しやすい抽出手法をとれば、フレーバーの風味をより引き出すことができるんです」
ドリッパーには大きく、透過式と浸漬(しんし)式があると、以前の記事でご紹介しました。透過式は、主に下部に穴の開いた三角形の形状で、上から注いだお湯がコーヒーを通過して下へと流れていきます。対して浸漬式は、コーヒーをお湯の中に一定時間浸けておくもので、フレンチプレスやサイフォンがそれにあたります。
「お湯の中に浸す時間が長いほうが、フレーバー成分が溶けだしやすい。より豊潤なフレーバーを味わいたい場合は、浸漬式ドリッパーがおすすめです」
ただし、それぞれのフレーバーコーヒーの香りの強さによって、抽出方法の見極めが重要だと国枝さん。bowlで扱う、アルフレッズコーヒーの場合はどうでしょう? 次回に続きます。