自分好みの最高の一杯に出合うため、引き続きコーヒーのプロであるロッシ国枝さんのスペシャル講座をお届けしています。ドリッパーについて学んだ前回に続き、今回はフィルターについて掘り下げていきます。
茶色と白、どっちを選ぶ?
「皆さんがご自宅で使う場合は、紙のフィルターがほとんどだと思います。その際にまず注目してほしいのは、色です。クラフト系の茶色いものと、真っ白なもの。大きく分けて2種類がメジャーだと思います。簡単に解説すると、茶色いものは無漂白、白いものは漂白済みの商品です」
それだけ聞くと、漂白されていない茶色いもののほうがナチュラルで体に良さそうな気がします。
「そう思われている方が多いんですが、一概にそうは言えないんです。白色のフィルターに使われているのは、主に酸素系の漂白剤。塩素系と違って、基本的ににおいもありません。一方、茶色いフィルターは無漂白なので、紙臭さが残っている場合がある。特に、安価に販売されているものは避けた方が無難です」
メッシュの粗さと、透過スピード
ほかにも、フィルターの値段に比例するもののひとつに、“メッシュの粗さ”があると、国枝さんは続けます。
「基本的に、安価なフィルターのメッシュは目が均等でなく、ドリップしたときにお湯がスムーズに落ちにくい。つまり、自然とコーヒー豆がお湯に浸っている時間が長くなるんです。一方、もう少し値段の高いフィルターの目はそろっていて非常にきれい。そのため、お湯の落ちるスピードが速くなるといえます」
では、値段が高ければ高いだけベターかというと…。
「あくまで注意したいのは“自分がどんなコーヒーの味を求めているか”。過去の記事で説明したように、浸水時間を長くしたいのか否かで、フィルターを選んでみてください」
箱入りのものと袋入りのものでいうと、箱入りのもののほうが上質、つまり目がそろっている傾向があるといいます。興味が出てきたら、同じ豆を同じ条件でフィルターだけ替えて抽出してみる、そんな実験もおもしろいかもしれません。