はちみつのパッケージで、「百花(ひゃっか)」という表記をよく見かけます。これは、野に咲くさまざまな花から蜜蜂が集めてきた蜜のこと。つまり、結果的にその地域の花の蜜の“ブレンド”ということになります。これと引き合いに出されることが多いのが、「単一蜜」「単花蜜」と呼ばれるはちみつ。多くの方が予想するように、一種類の花蜜からできるはちみつです。しかし野に放たれた蜜蜂たちに、どうやって一種類の花の蜜だけを集めさせるのか不思議ですよね。そこには、蜜蜂の習性が大きく関係しています。彼らは、基本的に一度その花の蜜の味を覚えると、同じ花の蜜を集めたがるといいます。そこで、季節ごとにお目当ての花が咲くエリアに巣箱をお引越しして、その花の蜜だけを集めてもらうというわけです。
白く結晶化した、希少なホワイトハニー
そんな手法で年間通して3種類の単一蜜を生産しているのが、ハワイ島にある養蜂場「ビッグアイランドビーズ」。春はマカダミアナッツ、夏はハワイ固有種のオヒアレフア、秋はハワイ語でウィレライキと呼ばれるクリスマスペッパーと、それぞれ個性の違うはちみつを採取しています。なかでもオヒアレフアハニーは、“幻のホワイトハニー”と呼ばれる希少なはちみつ。結晶化したテクスチャー、そしてなんといっても霜が降りたように美しい白みがかった色合いが特徴です。味わいは上品でやさしく、ほかの食材の邪魔をしないので、紅茶などのドリンクに砂糖代わりに使うのもおすすめ。もちろんその独特の口当たりを生かして、スイーツのトッピングに使っても抜群です。
クリーミーで味わい深い、今年のレフア
「今年のオヒアレフアハニーの出来は最高よ。軽い口当たりで、クリーミーで、すごく味わい深いの」
ちょうど今年の収穫を終えた、ビッグアイランドビーズ・オーナーのウェンディ・グラッドはそう話します。
「でもね、収穫量という意味では、去年に比べると少なかった。なので、オヒアレフアハニーを使ったスパイスハニーの製造計画を考えるのにひと苦労したわ」
ビッグアイランドビーズでは、オヒアレフア+バニラ、オヒアレフア+シナモン、というフレーバーハニーも製造しています。収穫したはちみつはどんどん結晶化が進むため、すぐに瓶詰めしなければなりません。プレーンなオヒアレフア、フレーバーオヒアレフア、それぞれ注文が入るのを待ってから作業をするのは不可能。その数量の見極めが何よりも難しいのだとウェンディは話します。
「でもとにかく、質の面では今年のオヒアレフアハニーは最高よ。ぜひ日本の皆さんにも楽しんでもらいたいわ」
はちみつは、農産物。毎年その味も、収穫量も変化するのが当然なのです。自然の恵みに感謝しながら、その年にしか楽しめない味わいを思う存分堪能したいものです。