「フルーツバター」をご存知ですか? 乳製品の「バター」ではなく、フルーツ果汁を、砂糖や、スパイス、レモン果汁などと煮詰めてつくる、濃厚なジャムのような加工品のこと。メーカーによってレシピはさまざまですが、卵や、いわゆるバターを加えてよりこっくりと仕上げたものもあります。パンにはもちろん、ヨーグルトやアイスクリームにかけても美味。濃厚な味わいのなかにフルーツのさわやかさが際立ち、くせになる味わいです。
旅行費用を稼ぐためにスタート!?
ハワイ島の東側、ヒロの町に店を構えるのが「リコレフア」。リリコイバターをはじめとしたフルーツバターのメーカーです。運営するのはハワイ育ちの奥様ドーンとカリフォルニア出身のだんな様マット。1996年にドーンの叔母が始めたこのブランドを、2011年にふたりが引き継ぎました。 「リリコイ」とは、ハワイの言葉で「パッションフルーツ」のこを指します。
「最初はおばさんたちが、カナダに家族旅行に行くための資金集めとして始まったの。家でつくったフルーツバターを、近くのサッカー場でチームやボーイスカウトに売ったのよ」
旅行費用を稼ぐためにリリコイバターをつくって近所で売るとは、なんともほほえましい発想。やがてその味が評判を呼び、本格的なビジネスに発展していったといいます。
引き継ぎは突然に…
兼ねてから、このビジネスを売却するなら教えてね、とおばさんに伝えていたドーン。しかしそのタイミングが訪れたときは、とっても急な話だったようで……。
「本当にビジネスを引き継ぐつもりはある?とメールが来たから、ちょっと考えてみたいから詳細を送って、って言ったの。そうしたら次のメールではもう、次の製造はいつこれだけあがります、このオーダーについては納期に遅延が発生しています、レシピはこれです、あとはよろしくみたいな内容だったのよ(笑)」
当時まだ結婚前だったというふたり。躊躇ももちろんあったけれど、もうとにかくやるしかない状況だったといいます。
サーモンのソースにリリコイバター!?
現在、フルーツバターを生かしたレシピを提供するレストランも営業中。おすすめはサーモンをグリルして仕上げにリリコイバターを使ったメニューだとか。メインディッシュのソースとしても活躍するなんて、リリコイバター、万能すぎます。