日本では「ホットドッグやハンバーガーにつけるもの」という固定概念が強いマスタードですが、ハワイではじつにバリエーションが豊か。なかでもマウイ島のブランド「マウイアップカントリー」では、「マウイオニオンマスタード」「パイナップルマスタード」「マンゴージンジャーマスタード」というじつの3種類ものマスタードを製造しています。
「肉に塗ってからグリルするとすごくおいしいのよ」
マウイアップカントリーのオーナー・ジャンの言葉には、目からうろこでした。あくまで焼きあがった肉に添えるイメージだったマスタード。それを下味に使ってしまうとは! こうなれば3種類のマスタードを使って実験です。用意した食材は、牛肩ロース、鶏もも肉、まぐろ、サーモン。肉類は塩胡椒(鶏肉はフォークで軽く穴をあけてから)、魚は軽く塩をして、マスタードと一緒にジッパー付き保存袋にイン。ひと晩寝かせます。
マウイオニオンマスタード+牛肉
マウイオニオンマスタードは、一年中新玉ねぎのようなフレッシュな味わいが特徴のマウイオニオンが入った逸品。イエローマスタードベースで、ガーリックのアクセントがきいた大人気商品です。ボリューム満点の牛肉との相性はばつぐん! あとからマスタードをつけたときと異なり、さりげなく、しかし確実に肉の風味をアップさせています。予想以上に中にまで味がしっかり染みこみ、心なしか肉がやわらかくなった印象もありました。
パイナップルマスタード+鶏肉
パイナップルマスタードのベースになっているのは「ディジョンマスタード」。その名に冠した地名からもわかるように、フランスを代表する伝統的なマスタードです。「ヴェルジュ」と呼ばれるぶどうのしぼり汁や、白ワインビネガーが使われていることが特徴で、フルーティかつ上品な味わい。これをパイナップルと合わせてさらにフルーティさを増したのがマウイアップカントリーの「パイナップルマスタード」です。これが、鶏肉の淡白な旨みとベストマッチ。きりっと冷やした白ワインに合わせたくなるような仕上がりでした。
パイナップルマスタード+まぐろ
一番驚いたのは、このまぐろメニュー。今回は刺身用のサクを使用したのですが、きめ細かな身の奥にまでマスタードが染み込み、どこかハムのような仕上がりに。生食用の素材だったので、あくまで軽く炙ってレアでいただきます。ごはんにのせてどんぶりメニューにしてもおいしそう。
対して、マンゴージンジャーマスタードでチャレンジしたサーモンは…正直あまり味が入りませんでした、残念! マンゴージンジャーマスタードが悪いというよりも、サーモンのたっぷりの脂との相性がいまいちだった模様…。同じ手順でも、食材によって仕上がりがまったく変わるのが興味深いですね。
漬け込みひと晩寝かせマスタード、あなたもお好きな食材でチャレンジしてベストマッチを見つけてみてはいかがでしょうか。