みつばちが、花の蜜を集めてはちみつになる。でも、具体的にはどうやって? そんな素朴な疑問を胸に、ハワイ島の養蜂場ビッグアイランドビーズのオーナー、ウェンディ・グラッドに話を聞いてみることにしました。
「酵素」と「蒸発」
「蜂は『蜜のう』という、特別な器官を体にもっているの」
英語でいうと「Honey Sac(ハニーサック)」。はちみつのリュックサック、みたいでなんともかわいらしい響きです。働き蜂は花の蜜を集めて蜜のうに入れ、巣へと持ち帰る。するとこの中で酵素が加えられ、はちみつへの変化の第一段階がスタートします。巣に戻ったみつばちは、お馴染み六角形の各小部屋に集めた蜜を格納。するとここからが驚きで…
「羽で風を送って、水分を蒸発させていくのよ」
なんと! あんな小さな体で一生懸命に羽を動かして蜜の濃度をあげていくのです。
「完成したら、蜜蝋で部屋に蓋をするの」
そもそもはちみつは、蜂たちの食糧。成虫が食べるのはもちろん、巣の中で育てている幼虫にもはちみつが与えられるのです。
回れよ、回れ
さて、できあがったはちみつを人間がちょうだいするには、一度蜂たちに巣からご退出いただかなければなりません。
「このとき欠かせないのが発煙器、スモーカーよ」
何層にも重ねられた巣箱の上のほうから煙を入れると、蜂は煙の少ない下の層に移動。蜂たちが出ていった後、上の箱から取り除き、それをトラックに載せて工場へと向かいます。工場に到着すると、まず巣の表面の蜜蝋でできた蓋をカット。その後…
「遠心力を使います!」
蓋をカットした巣を抽出機(写真右奥の丸い機械)に入れ、高速で回転させることではちみつが外に飛び出し、抽出機の壁を伝って下のタンクへたまるという仕掛けです。この後異物を取り除き、瓶詰めされていよいよ出荷。でも…蜂たちの食糧であるはちみつを、人間がこんなに盛大にいただいてしまって大丈夫なんでしょうか。
「みつばちは、自分たちが必要な量の7倍もはちみつを作ることができるの」
なんて働き者! でも、1匹の蜂が一生で作れるのは小さじ4分の1にも満たないといいます。勤勉な彼らの仕事に感謝しつつ、ありがたくいただきたいと思うのです。