「では、テイスティングを始めましょう!」
オーナー夫人のタミーがそう切り出したこの場所、ワイナリーでも蒸留所でもありません。ハワイ、そして世界中から厳選して仕入れたカカオ豆を原料にビーントゥバーを製造する、クラフトチョコレートメーカー「マノアチョコレート」の工場兼ショップです。ここでは製品が購入できるのはもちろん、無料でさまざまなチョコレートのテイスティングができるのです。
すべて、カカオ70%で
「今日は、シングルオリジンのバーを4種類出すわね」
シングルオリジン=単一産地。ひとつの場所でとれた豆だけで、そのカカオの個性を最大限に生かしてつくられるチョコレートです。
「カカオの割合はすべて70%。原料は、どれもカカオときび砂糖、それだけよ」
マノアチョコレートでは仕入れた豆の味をしっかり見てから最適な温度、時間で焙煎。そこからチョコレートへと加工しているので、工業的にすべて高温で焙煎したときに生じるようなえぐみ、雑味がありません。そのため、余計な添加物に頼る必要がないのです。
「一つ目はハワイ島西側の、コナの豆を使ったチョコレートです」
バター、ベリー、コーヒー…?
口に入れると、70%とは思えないほどのやさしさ! そして、カカオ豆が農産物であるということを再確認するような、有機的な味わいが複雑にからみ合います。
「スタート、ミドル、フィニッシュ、変化していく味を感じてね。うん…バターっぽくて、最後のほうに濃いベリー系の香り。かすかにコーヒーを思わせるフレーバーも感じるわ」
なるほど、こんな感じで表現するのか! タミーの並べた形容詞をはんすうしながら舌を通り抜けていった味をたどると、確かにそれぞれの輪郭が感じられます。
同じハワイの豆といえども
「次は『カハルウ』。このお店からも近いエリア、オアフ島の東部のコオラウポコ地域の豆を使っているの。どう?」
口に入れればびっくり。同じカカオ70%のチョコレートなのに、最初のものとは驚くほど味が異なります。…しかし的確に味を表現する言葉が見つからないでいると…
「これはトロピカルフルーツだったり、かんきつ系も感じるわね。メロンも少し。でも甘すぎずにちょっとドライな印象」
勉強になります! 次こそは自分の言葉で表現したい…。しかし本当にワインテイスティングのよう。次回に続きます。