「僕は圧倒的に、炭より薪派だね」
前回からご紹介しているオアフ島の炭・薪メーカー、「キアヴェハワイ」のテリーはそう話します。これは、お肉を調理するときには何がベストか、という問いに対する彼の答え。われわれ日本人は「炭火」という響きに無条件に惹かれてしまいがちですが、炭調理と薪調理、その違いを述べよと言われても、目が泳いでしまいます。
燃え尽きたあとに?
「ひと言でいえば、薪のほうがクリーンに燃えるんだ」
たとえば同じ重量の炭と薪を燃やしたとすると…。
「炭の場合は、5kg燃やしたとすると、燃え尽きたあとには1kgほど残留物が残る。でも、薪の場合はきれいにすべて燃え尽きるんだ」
このことをもってして、テリーは薪を「クリーンな炎」と形容しているのです。
見た目と本質はちょっと違う
「具体的に何が違うかというと、温度が違う」
テリーは続けます。薪を使えば炎が燃え上がるので見た目には熱そうですが、実際は炭のほうが高い熱を放出するのだといいます。
「僕がステーキを調理するときは、薪を使って炎を起こして、肉がその炎に包まれるように真ん中に置く。3、4分放置してもまず焦げないよ。炭による熱だと、ちょっと温度が高すぎるんだよね」
火を起こしてその中に食材を放り込むなんて! と思ってしまうところですが…、やはりプロに聞いてみるものですね。
メネフネが料理をお手伝い
「まあもちろん、炭がだめってわけじゃないんだけどさ。僕たちの祖先の生活を振り返っても、みんな炭ではなくて薪を使って生活をしていた。日本の備長炭みたいな高品質な商品としての炭をつくる人たちもいたけどね。まあ、アメリカにはそんなハイクオリティー商品…なかったと思うなぁ(笑)」
テリーは味噌とバターで味付けした白身魚も、この炎に放り込む方法で調理するといいます。
「食材を入れたら、なんせじっくり数分待つ。そうすればメネフネがやってきて君の代わりにお料理してくれるよ」
メネフネというのは、私たちの知りえぬところでお仕事を手伝ってくれるというハワイの妖精。彼らの奮闘を思いながらお腹を鳴らして待つ数分、というのもまた楽しいではないですか!