「子どものころから、何か人と違うことをやってみたかったんだ」
ハワイの木材を使った燻製チップや炭を製造する「キアヴェハワイ」の代表、テリー・ロドリゲスはそう振り返ります。オアフ島の東部、ワイマナロの拠点で話を聞きました。
人生をかけて
ブランド名にその名を冠す「キアヴェ」は、ハワイで多く自生する樹木。豊かなフレーバーをもち、燻製料理などで重宝されています。
「キアヴェはもちろん、グァバにアイアンツリー、ユーカリ、マンゴーツリー…。ありとあらゆる木のことを勉強しまくったよ」
ハワイでこのような料理用木材のブランドがまだほとんどなかった1987年、テリーはキアヴェハワイを立ち上げました。その後90年代に入ると、「オールツリーサービス」という、樹木伐採などを手掛ける会社も設立。
「木に関するすべてを取り扱って、それを商品化する。これこそ自分の人生だと思ったんだ」
有名シェフと二人三脚
テリーは薪や炭、スモークチップといった木材商品を開発・販売するだけでなく、数々の有名レストランに調理グリルを導入するプロジェクトを手がけました。
「アラン・ウォンとか、ロイ・ヤマグチとか。いまでもハワイの数百の店と仕事をしてるよ」
80年代当時、車と同じくらい高価だった調理グリル。このセットアップをすべて請け負い、その後薪や炭を販売しながら関係性を築き上げていったといいます。
「きちんと乾燥工程を経ていない薪は均一に燃えないから扱いにくい。3、4年かけてしっかりと乾燥させた高品質な商品だけを供給し続けているよ」
個性いろいろ、役割さまざま
「木は、勉強すればするほどおもしろい」。テリーは言います。
「強いフレーバーをもつキアヴェに対し、グァバはやさしい香り。このふたつは燃やした時にあまり炎は出ないけど、放出熱の温度が比較的高い種類。特にグァバは高い。この性質を利用すれば、日本の備長炭にすごく近い商品をつくれる可能性があって、これから開発予定なんだ」
アイアンウッドは癖のない香りで、炎がよく出るのが特徴。薪オーブンでの使用に適しているといいます。さらにユーカリも炎が出てきれいな明かりがとれるので、皆で囲む暖炉で使うのにぴったりだと教えてくれました。
木材によってここまで特徴が鮮やかに異なるとは目からうろこ。コオラウの荘厳な山脈を背後に望みながら、またひと味違ったハワイの側面を教えてもらいました。