ハワイのスーパーやファーマーズマーケットにいくと、よく目にするのが「ORGANIC」や「NON GMO(非遺伝子組み換え)」という文字。食や環境への意識の高まりから、年々そのように謳う商品が増えているように感じます。
「選択肢があるなら、当然オーガニックや非遺伝子組み換えの農作物がいい」
そんなふうに単純に考えていました。しかし、実際のファーマーに話を聞いてみると、また違った側面も見えてきたのです。
ファーマーの持続可能性
「農薬は使うよ。政府はオーガニックでやってほしいって言うけど」
そう話すのは、カウアイ島北部のハナレイでタロイモを栽培するロドニー・ハラグチです。家族で6代にもわたり農家を営んでいます。
「大学と一緒にいくつか実験したりもしたんだけど、オーガニックでのタロイモ栽培には本当にお金がかかるんだ」
オーガニックの肥料の費用はかなり高額になるのだそう。利益を出せなかったら、そこに農家としての持続可能性はありません。
水田のお水を抜く作業
ハナレイのタロイモ農家には、日系移民のファミリーの方が多くいます。ロドニーの隣の畑でタロイモをつくるマーク・コガもそのうちのひとり。ロドニーに続けてこう話します。
「普段、肥料はブロウワーという機械でまくんだけど、オーガニックの肥料はこの機械が使えない。手でまくしかないんだ。しかも、まく前に畑を乾かす。そこから何日か待ってから畑に水を入れなきゃいけないんだ」
通常、水を張った水田のような畑で栽培されるタロイモ。その畑を乾かさずにオーガニック肥料をまくと、肥料が強く働きすぎる場合があり、せっかく植えたタロイモが枯れてしまう恐れがあるのだといいます。
「オーガニックでの栽培は不可能、ってことではない。でももっとリサーチが必要だよね」
USDAオーガニック
アメリカ農務省認定のオーガニック商品(USDAオーガニック)として販売するためには、申請作業と費用が発生します。小さな農家や生産者にとっては、このひと手間が重く、実際はオーガニックに近い方法で栽培していても、オーガニック認証を取得していない人たちがいるのも事実です。
体や地球に安心なものを選ぶのはすばらしい。でも、巷に流通するほかの多くの商品から私たちが得ている利便性やファーマーたちの実際の作業についても、きちんと頭に入れたうえで選択をしていきたいと思うのです。