2019 06.04 tue

お米とタロイモと
日系農家がつなぐ
ハワイの文化と日本の心

Why Did They Switch to Taro from Rice?
A Story about the Farmers in Hanalei, Kauai
TARO BRAND

カウアイ島北部、ハナレイはタロイモの一大産地。タロイモ農家のロドニー・ハラグチ(写真右)のファミリーは、日本からの移住以来なんと6世代にもわたりこの地で農業に携わってきました。しかし彼のファームのWEBサイトを見てみると、そのタイトルは「ハラグチ・ライスミル」。なぜタロイモではなくお米なのでしょうか。

日本の「モチライス」inハワイ

「もともと僕の家族は、ここで米を育てていたんだ。アメリカで『テーブルライス』と呼ばれる粒の長い米だけではなく、日本で食べられているようなもちもちした米、『モチライス』も、両方育ててていた。モチライスのほうが高く売れたんだよ」。しかし、その後カリフォルニアでもモチライスが栽培されるようになりました。手作業でおこなわれるハワイの米栽培に対し、カリフォルニアでは近代的な手法が導入されたことで安価での生産が可能に。価格競争に負けたハラグチ家族は、タロイモを育てるようになったといいます。

オアフ島勤務からのUターン

現在ハナレイでは、9農家で合計150エイカーの畑を管理しています。その中で一番の若手は、ロドニーと一緒に写真に収まるマーク・コガ、43歳です。「後継者問題はなかなか深刻だよね。僕にも子どもが4人いるけど、継いでくれるかどうかはまだわからない。僕も実際10年前まではオアフでコンピューター関連の仕事をしていたんだ」。しかしカウアイ島の自然豊かな環境の中、両親のそばで子育てをしたい、何よりも家族が続けてきたこの仕事を引き継ぎたいと考え、Uターンを決断したマーク。現在子どもたちは、学校のない土曜日になると畑を手伝ってくれているといいます。「タロイモ農家の仕事は汚くてハード。最終的にどんな職につくにせよ、ここで働くことができれば将来に生きると思うんだ」

主食はタロイモ? それともお米?

ところで、ロドニーとマークは、やはり毎日タロイモを食べているのでしょうか?「いい質問だね(笑)。まあ、僕たちは日本人。家族はずっとお米を食べてきた。生活のベースがタロよりお米になるのはしょうがないよね」。誰が一番のシェフかっていったら、やっぱり自分のお母さんでしょ、と笑うロドニー。でもハワイの人にとっては、そのベスト・シェフがつくるおふくろの味はタロイモ料理なのです。そんな人たちのため、彼らタロイモ農家は今日も懸命に畑に立っています。

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BRAND ブランド紹介

TARO BRAND
タロブランド オアフ島

1946年、小さなポイ製造所としてスタートしたHPC社の、タロイモを使った商品ラインが「タロブランド」。「ポイ」とは、タロイモを蒸してすりつぶし、発酵させた伝統食。高い栄養価と非アレルギー性であることから、離乳食としても注目されています。HPCは、このタロイモ文化を後世につなぐべく活動しているローカルカンパニーです。