マウイ島、クラ地区。「マウイアップカントリー」と呼ばれるこのエリアは標高1000m前後の高原地帯で、ハワイのなかでも涼しくさわやかな気候が特徴。この場所でジャムをつくるのが、「マウイアップカントリー・ジャムズ&ジェリーズ」のジャン・ヨコヤマです。
「もともと別の女性がやっていたブランドを引き継いだの。彼女のレシピがベースになっているけど……いくつかは味が気に入らなくって、自分好みに変えちゃったわ(笑)」
もともと趣味でリリコイ(ハワイ語でパッションフルーツの意味)のスパイスジャムをつくっていたというジャン、商品開発はお手のもの。自分が好きな味になるまで何度もトライアル&エラーを繰り返すだけよ、と話します。
ジャンも筆の誤り?
もちろんうまくいかないこともある、とジャン。ココナッツシロップは、開発にじつに1年かかったとか。
「マンゴー爆発事件、なんてのもあったわね。母が寝てからマンゴーをフードプロセッサーにかけようとしたら……ふたを閉め忘れていたの。で、スイッチオン。もうそこらじゅう、天井も、壁も、床も、マンゴーだらけ!」
とってもきれい好きだったというジャンのお母さん。夜中までかかってきれいに掃除をし、どうにかお母さんにはばれなかったそうです。
娘のようなふたりに引き継ぐ夢
工房は、ファクトリーというよりかは少し大きめのキッチンといった雰囲気。現在ジャンのほかに、チェルシーとヒネ、ふたりの女性が働いています。マウイの風のようにゆったりとした空気をまとった彼女たち。ジャンから手ほどきを受けて、いまではほぼふたりでジャムやシロップをつくるようになったといいます。
「私がリタイアするときには、彼女たちにこのビジネスを残したいと思っているの」
ジャンがつくり上げた幸せな味わいが、娘のようなふたりによって次代へと引き継がれていきます。