ハワイ・カウアイ島でラム酒がつくられていると聞いたら、驚くでしょうか。一般的にラムの原料はさとうきびです。カウアイ島では1835年からさとうきびの商業生産が始まり、一時代を築きました。この地に渡った日系移民たちも、多くはさとうきびプランテーションで働くための労働力としてだったのです。
ハワイのさとうきびでラムをつくる
当時はシンプルに、砂糖を製造するために栽培されていたさとうきび。ハワイ語で「コロア」と呼ばれるこのさとうきびを使って、2009年からメイドインハワイのラムを生産しているのが、「コロアラム」です。
「僕たちはこの銅の蒸留器とコンデンサーを使って、さとうきびジュースを発酵させたものを2回蒸留しているんだ。蒸留1回だと、ちょっと生っぽい、粗い味わい。でももう1回蒸留することで、甘みとクリーンな味わいをプラスすることができるんだ」
創業者であるボブ・ガンターの息子、ギャレットが教えてくれます。蒸留すればするほどいいというわけでもなく、原料であるさとうきびのフレーバーをいかに残すかがポイントだとか。ラムづくりにもなかなか微妙な塩梅が求められるようです。
さとうきび産業の運命は?
隆盛を極めたハワイのさとうきび産業。じつは、2016年にマウイ島にあった最後の商業工場が閉鎖してしまいました。アメリカ本土との価格競争に負けたのが大きな要因のひとつだといわれています。カウアイやマウイで車を走らせると、かつてさとうきび畑であったであろう、荒れた草原を多く見かけます。
「いまは最後のハワイ産粗糖のストックを増やしている状態なんだけど、近いうちに自分たちでさとうきびを栽培して、それでまたラムをつくりたいと思っているんだ」
歴史と世界に翻弄されたハワイ産さとうきび。少しだけ未来の光が差しつつあるようです。