本場のポイを、いまだに食べたことがない――。
ハワイのフードメディアを運営していながら、これはどうしたものかとずっと心に引っかかっていた現実である。今回は通常記事から少し趣向を変えて、そんな私の「リアルハワイフード初体験記」をお届けしようと思う。
硬派な店で出会えます
そもそも読者の中には、「ポイ」のなんたるかをご存知ない方も多いかと思う。かく言う私もこの仕事を始めた約1年前まで、名前すらまったく聞いたこともなかった。ハワイフリークの方にとっては釈迦に説法だが、まずは少々ポイの説明を。ポリネシア地域で広く主食として食されてきたサトイモの仲間「タロイモ」を蒸してすりつぶしたもので、伝統的には継ぎ足し継ぎ足し発酵させていただく保存食だ。ただこれ、ナウでヒップな女子たちが小脇に抱えて歩くようなガイドブックに掲載されている店ではなかなかお目にかかれない、割と硬派なハワイアンフードなのである。
ロコたちが大行列
ポイを初体験すべく、お腹を空かせて向かったのはダウンタウンに位置する「ヘレナズ・ハワイアンフード」。ハワイNo.1のタロイモ加工メーカー「HPC」の副社長、クレイグ・トットリにおすすめされた店だから味に間違いはないはず。ここでおいしいと思えなかったら、もはや私の舌はハワイアンフードとの相性が悪いと諦めて職を変えるべきか――。そんな思いをもやもや巡らせながら到着すると、平日14時過ぎにもかかわらず店の前にはなんとも長い列。観光客もちらほらいるが、多くはロコの人たちのよう。ほう、現地の人も食事のために並んだりするのか…。地味に驚きを感じながらも、「地元人に愛される、地元人のための、本物のハワイアンフード」、そんなキャッチコピーを勝手にでっち上げ、なんだかひとりテンションが上がる。
初心者にもやさしいセットメニュー
ウェイティングリストに名前を加えてもらうと、早速メニューが渡される。どうやらセットメニューがお得で人気のようだ。私のような初心者にもオーダーしやすく少々安心。お目当てのポイのほかに「カルアピッグ」、「ロミサーモン」なるものが含まれているセットAをチョイス。セットメニューにはすべて「ハウピア」、「オニオン」、「ソルト」がついてくるとの記載あり。…ハワイフードに詳しくないと、メニュー名の羅列はどこか呪文のようにも聞こえてくる。
どきどきの実食は後編に続きます。