「カッピング」って、聞いたことありますか? ちょうどワインのテイスティングのように、コーヒーの品質や味、香りを判断するプロセスのことをいいます。今回はハワイ島南部カウ地区のコーヒー農園兼焙煎所「ラスティズハワイアン」にて、このカッピングを見せてもらいました。
挽いた豆の香りからスタート
「今日は3種類カッピングしてみるわね。そのうち2種類は同じ豆なんだけど、発酵時間が違うわ。焙煎はそれぞれ同じくらいね」
目の前に3つのカップを並べて、創業者ラスティ・オブラの娘、ジョアンが言います。用意するのは、カッピング専用のカップ。そこに豆を8.5gずつ挽いて入れます。
「まずは、この挽いた豆だけの状態で香りをかぐの。香りの特徴はもちろん、かび臭くないかとか、品質的なところもチェックするわ」
フィルターは使いません
そこに直接150mlのお湯を注ぎ入れて4分。するとコーヒーの粉が表面に浮かんできました。
「どれくらいの粉が浮かんでくるかにも注目してみて。ほら、ローストを深煎りにしたら豆の水分量が減るから軽くなるでしょ。そうすると表面に浮かぶ粉も多くなるってわけ」
この状態で再度香りをチェックします。
「次は『ブレイキング・ザ・クラスト』というステップ。カッピング用の幅広で平べったいこのスプーンを使って、表面に浮いたクラスト(かたまり)を下へ押し込むように割る、そして同時に息を吸い込んで香りをかぐのよ」
時間とともに変化する?
3段階の香りをチェックしたら、次はいよいよ味。スプーンでコーヒーを少量すくい、勢いよく吸い込んで舌全体に均等にかかるようにします。
「こうすることで、すべての味蕾で味を確認することができるようにするの」
そして温度が下がっていくのを待ちながら、2回目、3回目と味を確認していきます。
「いいコーヒーっていうのは、冷めてからもおいしいの。うん、このひとつめのは後味をキープしてるわ。ふたつめは少し水っぽくなったかしら」
実際に味わってみると、確かに同じ豆でも時間とともにびっくりするほどその味わいを変化させます。なんとも奥深いコーヒーの世界、一度その魅力につかまったら最後、離れられなくなりそうです。