今年2020年5月、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで、警官の不適切な拘束によって死亡したアフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドさん。この悲しい事件をひとつのきっかけに、アメリカ、そして全世界的に「ブラック・ライブズ・マター」運動が広がりました。改めて人種差別に対する国際的問題提起がされる中、スペシャルティコーヒーの評価を手掛ける「コーヒーレビュー」では、黒人オーナーのコーヒー会社にスポットを当てたレビューを8月に実施。bowlでも販売するハワイ島カウ地区の「ラスティズハワイアン」の「100%カウコーヒー ミディアムロースト」が100点中93点という高スコアをマークしました。
ブラインド・カッピング
「コーヒーレビュー」は1997年に設立された団体で、スペシャルティコーヒーを100点満点でスコア付けして毎月発表しています。「カッピング」と呼ばれるコーヒーのテイスティングの際は、銘柄やブランド名は一切見ずに評価をするという彼ら。先入観なしに客観的な評価を下すことによって、愛好家がお気に入りの豆に巡り合うためのお手伝いをしているという具合です。
「あくまで公平にカッピングをしてきたつもりだったけど、黒人オーナーのコーヒーブランドの商品の取り扱いがまだまだ少ないんじゃないかということに気づいて、今回この企画を思いついたんだ」
コーヒーレビューの共同設立者、ロン・ウォルターズはそう話します。
チョコレート、アプリコット、葉巻の香り?
彼らは全部で33の黒人オーナーのコーヒーブランドに声をかけ、そのうち19社からサンプルを取り寄せました。エチオピア、コロンビアなどコーヒー豆の一大生産地はもちろん、ホンジュラス、ウガンダ、コンゴ、ハイチ、そしてハワイを含む非常にバラエティに富んだ産地の豆が集まったといいます。
「花のような豊かな香り、チョコレートのフレーバー、メイヤーレモンのような酸味を感じさせるエレガントな甘み、濃厚な味わい、アプリコットやはちみつ、ラベンダー、ほのかな葉巻の香り、後味はチョコレートの焼き菓子とアプリコット、最後に再び葉巻の香り」
これが、93点という高得点と共にラスティズハワイアン「100%カウコーヒー ミディアロースト」に与えられた評価です。まるでワインのようですよね。
わざわざ「黒人オーナーの」と銘打ってレビューを行うことに、当初淡い疑問を抱きました。しかし、「これまで無意識のバイアスがかかって、黒人オーナーのコーヒーを十分に評価しきれていなかった部分がある」と率直に考え、この取り組みを企画したコーヒーレビューの皆さんに敬意を表したいと思います。
※参考文献『COFFEE REVIEW』
-RECOGNIZING COFFEES FROM BLACK-OWNED COFFEE COMPANIES