「みつばちたちは、ダンスで会話するんだ」
ハワイ島のはちみつ生産者「ビッグアイランドビーズ」のオーナー・ガーネットの言葉に、思わず目を丸くしてしまいました。みつばちたちは巣に帰ってくると、さまざまな種類のダンスを駆使して、お互いに情報交換をするというのです。
ダンスでプレゼン、コンペもある!?
たとえば、花の蜜がどこにあるのか、という情報。1匹の蜂が飛び回れるのは半径およそ3㎞強の範囲だといいますが、そのなかで、どちらの方向に、どれくらいの蜜を発見したのか、巣にいる仲間にダンスで伝えるんだそうです。蜜を発見できなかった場合は、その情報もきちんと伝達。そうしてチームで効率的に蜜を集めるというから驚きです。
「蜂たちは互いに競い合ったりもするんだ。2匹の蜂がそれぞれ違う場所で蜜を見つけたとする。そうすると2匹はそれぞれダンスでプレゼンテーションをして、どちらが見つけた場所のほうが優れているか、ほかの蜂たちがジャッジする。そうして次は、勝者の蜂が見つけた場所へとみんなで向かって行くんだ」
人間もびっくり、驚愕の社会性です。
マスターすれば、蜂の言葉がわかっちゃう
「蜂のダンスの意味を収録した辞書みたいなものもあって。昔はうちのお店でも売っていたのよ」
ガーネットの妻、ウェンディが教えてくれます。冒頭の写真のような図解がそれです。
「蜂たちのダンスを解明するために、実験をした人がいたんだ。ほかに何もない砂漠のようなところにシロップを一定量置いて、それを見つけた蜂がどんなダンスをするか。それを記録していったというわけだよ」
ガーネットが続けます。
人間より厳しい? みつばち社会
蜜を集めて、熱心に働き続けるみつばちたち。ここハワイでは1年中花が咲いていることもあり、1カ月ほどでその命に幕を下ろしてしまうといいます。しかし、中にはあんまり働きたくない、怠け者の蜂、なんてのもいるのでしょうか…?
「いるよ。もちろん蜂たちにも個体差はある。巣ごとにも文化が違うしね。だからシーズンの終わりには働き者で、人間に対してもあまり攻撃的でないような優秀な巣を選んで、そこの蜂たちを繁殖させるんだ」
選抜を生き残ったエリートDNA、きっと彼らはダンスを踊らせても優秀であるに違いありません。…みつばちの社会、もしかして人間社会よりも厳しい!?