Honolulu Beerworks(ホノルル・ビアワークス)の未来について語るとき、オーナー、ジェフ・サイダマンは企業的な言い回しや売上予測のような話をしない。彼の描く未来は、彼のビールと同じようにゆっくりと、目的を持って、ハワイの気候やチームの強み、そして「周囲の環境を大切にしてこそ、意味のある成長ができる」という、静かな考え方から形づくられていく。
※ホノルル・ビアワークスの始まりのお話はこちらから。
ブルワリーへの道(リンクを貼る)
カリヒの醸造所から広がっていく可能性
新しいカリヒの醸造所兼タップルームに落ち着いたことで、ホノルル・ビアワークスにはようやく“余白”が生まれた。その”余白”が可能性を広げている。まず取り組みたいのが、缶詰ラインの導入だ。
品質管理のためでもあり、ホノルル・ビアワークスの創造性をさらに広げるためでもある。小ロットの缶製品をつくりやすくなり、コラボレーションもしやすくなる。そして何よりも、より短いスパンでフレッシュなビールを届けられるようになるのだ。ドラフト限定では難しいスタイルにも挑戦しやすくなるだろう。
「らしさ」を大切にした新たなる挑戦
そして、最近のハワイの飲酒トレンドを見ていると、RTD(Ready to drink)と呼ばれる缶カクテルの存在感が増している。日本ではチューハイや缶カクテルが長く親しまれてきたが、ハワイやアメリカ本土ではまだまだ新しいカテゴリーだ。
「適切な設備が揃えば、ハワイらしい味や素材を生かした缶カクテルをつくる可能性が見えてくる」とジェフは語る。「甘くて人工的なものではなく、島の風土を反映した“持ち運べる表現”としてのドリンクだよ」
ジェフはそのアイデアに明らかに興味を持っているが、話し方はいつも通り落ち着いている。急がず、無理をせず、意図を持ってつくることが前提なのだ。

そして日本市場。すでにホノルル・ビアワークスのビールは日本で飲まれ始めているが、ジェフはそこにさらに深める余地を感じている。日本の飲み手は「バランス」「職人性」「一貫性」を重視する傾向があり、それはホノルル・ビアワークスの根源と重なる部分が多い。日本への展開を広げる構想は、ビール好きにとってもうれしいことだし、ジェフ自身が大切にしている価値観と共鳴する相手とつながるチャンスでもあるだろう。
これらすべての中で、ジェフのビジョンは一貫している。「無理のない範囲で成長すること」「ビールの誠実さを守ること」「ホノルル・ビアワークスらしさを失わずに新しい挑戦をすること」
彼と話していると、ホノルル・ビアワークスの最良の時期は過去でも未来でもなく、まさに今、このオアフ島で日々積み重ねられているのだと感じられる。
ジェフらしく、彼は“良いもの”はしっかりした土台から生まれると考えている。職人としての技術、明確な目的意識、そして人との正直なつながり。その積み重ねが、ホノルル・ビアワークスのこれからを支えていく。
Written by Solario (アーティスト、シセロン資格保持者)
※この連載のコントリビューターであり、アーティストでビールのソムリエ・シセロン(Cicerone)の資格保持者でもあるSolarioについては、こちらからどうぞ!
レトロモダンなハワイの建築物を独自に描くアーティスト、ソラリオ氏





