アメリカ・スタンフォード大学卒の才媛、ロコガールのジェイド・フェルナンデス(Jade Fernandez)さんが立ち上げたアートブランド、「ハパ・ガール・スタジオ(Hapa Girl Studio)」。アメリカ本土での経験を活かし、故郷のオアフ島へ戻って活動している彼女の作品は、カラフルで人々を自然に笑顔にする魅力があふれています。
オアフ島西側に新しくできたリゾート施設「ワイカイ」にあるレストランの壁画を任されたり、大人気のコーヒーブランド「ホノルル・コーヒー・カンパニー」のスリーブアートやロゴグッズなどのコラボレーションを実現したり、メリー・モナーク・フェスティバルのマーケットに出店したり、今大きな注目を集めるアップカミング・アーティストのひとりなんです。

ハワイの固有種や在来種を自ら学び、表現すること
彼女のアートは、単に美しいだけでなく、ハワイの多様な文化や生態系の本質を捉えたビジュアルストーリーが含まれているという一面も。ハワイへ戻ってから、あらためてハワイの固有種や在来種の動植物について学び、それらを自分のアートのエッセンスとして取り入れたジェイドさんの思いが込められているんです。
ハワイの自然をテーマにした魚や花のコレクションは「子どもたちに、ハワイの自然を楽しく学んでほしい」という思いから描かれたという作品シリーズ。現在、地元の小学校の教室にも飾られて、教材の一部として使われているのだそうです。
「先生になりたい、というわけじゃないけれど、少しでも子どもたちの学校教育をサポートできたらと思うんです。教育は、とても大切なものですからね」とジェイドさん。こうしてハワイの文化や歴史、ストーリーを次世代へとつなげていく活動、素敵ですよね。
「私にとってアートはなくてはならないもの。だけど、これだけを突き詰めるというより、アートを手段の一つとして、大事なことを伝えたり、ハッピーをシェアしたりしたいんです。完全にフルタイム・アーティストじゃないからこそ、表現できることがあるとも思っています。ある意味、とても贅沢ですよね」。
ハワイ語で「半分」や「混合」を意味する“ハパ”に込めた想い
アメリカ本土のIT企業からのパッケージデザインなどもリモートで引き続き担当しているジェイドさん。テクニカルなエンジニアリングのベースやビジネスマネジメントと、アートのクリエイティビティを融合させ、新たな唯一無二のスタイルを作っている感じが、とても新鮮で興味深い。そしてなにより、温かい人柄が作品ににじみ出ています。
「ブランド名にある“ハパ”とは、ハワイ語で「半分」や「混合」を意味するワード。私自身が、この地に何世代もに渡って暮らしてきたプエルトリコ系とチャイニーズ系のハーフということもあるし、文化、物語、経験が融合することで生まれる美しさがあるとも感じているんです。単体では生み出せないなにかを作り出せるっていうか。違った背景を持つ人同士が、共通のベースを見つけて交差し、より良くなっていくはず、という思いを込めたブランドネームでもあるんですよ」とジェイドさん。
やさしくて温かくて、そして信念がある。ハパ・ガール・スタジオのアートから、新しくて深いハワイを感じるのは私だけじゃないはずです。