「ハワイのグルメ」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか? ロコモコ、パンケーキ、アサイーボウル? どれも現地で人気のメニューではありますが、ハワイの伝統的な食事かどうかとなると疑問符です。
ハワイ諸島にやってきたポリネシアン文化
トラディショナルなハワイの食事の代表格が、以前の記事でもご紹介した「ポイ」。タロイモを蒸してすりつぶし、発酵させた主食です。ほかには、豚肉を土の中で蒸し焼きにしてほぐした「カルアポーク」、肉や魚をタロイモの葉に包んで蒸し焼きにする「ラウラウ」など。ハワイ諸島に最初に移住してきたといわれるポリネシアンたちのカルチャーがベースになった食文化です。これらが衰退の危機にあると、「タロブランド」で知られるポイメーカー「HPC」のクレイグ・トットリが教えてくれました。
エスニック料理の勢いの陰で
「手のかかるハワイ料理は、まず高いんだよね。普通の食事でもひとり20ドルくらいはかかっちゃう。それに、不健康だと思い込んでいる人が多い。ポイなんて発酵食だし食物繊維も豊富で、本当はとってもヘルシーなんだけどね」
さまざまな国からの移民が多く集まり、独特のカルチャーを作り上げている場所ハワイ。冒頭にあげたようないま人気のメニューの数々も、広い意味では‟ハワイの味“と言ってもいいのかもしれません。そんな目新しい料理や、中華、韓国料理、ベトナム料理、タイ料理、和食……各国のレストランが多く立ち並び、現地の人でもなかなか伝統的なハワイ料理の店には足が向かないようです。
伝統が生き残るための変化
「ポイも、伝統を重んじる人はたちは、昔通りの食べ方をきっちり守る。砂糖なんて入れようもんならNO!NO!NO!って言われちゃう(笑)。でも、伝統が生き残るためには、何かしら変えていかないと、と思うんだ」
クレイグはタロイモを使って、パンやクッキーを開発したり、最近ではお酒造りにもチャンレジしています。新しい挑戦に賛否両論はつきもの。その両方をしっかりと受け止めて新しい流れを生み出していこうとする彼のような人たちがいるからこそ、ハワイはこれからがおもしろいのです。