「ラム酒」と聞いて、何を思い浮かべますか?カリブ海の陽気なイメージ? 海賊が握っているボトル? モヒートに使われるおしゃれなお酒? bowlではカウアイ島でつくられるメイドインハワイのラム酒「コロアラム」を扱っていますが、今日はラム酒の歴史を少しお勉強してみたいと思います。
カナリア諸島からこんにちは
ラム酒の原料となるのは、さとうきび。しかし、ジャマイカやキューバなどのカリブ海の島々では、もともとさとうきびは栽培されていませんでした。遡ること500年以上前の大航海時代。コロンブスが1492年に「新大陸」と呼ばれたアメリカに到達した翌年、彼がカナリア諸島産のさとうきびをカリブ海のエスパニョーラ島へ持ち込んだのです。カナリア諸島は西アフリカ沖に浮かぶ島々。カリブ海とは緯度をほぼ同じくするため、コロンブスのさとうきびはカリブの地にも根付いたといいます。
プランテーション隆盛の陰で
さとうきびといえば、言わずもがな砂糖の原料。ヨーロッパでの砂糖需要の高まりを受け、カリブのさとうきび栽培は、どんどんと大きなプランテーションとなっていきます。この労働力にあてられたのが、1世紀頃から島々で暮らしていた原住民。歴史を遡ればアジアから渡ってきたモンゴロイドだったという彼らは、プランテーションでの過酷な労働とヨーロッパから持ち込まれた疫病により、悲しいことに姿を消してしまいます。そこで動員されたのがアフリカの人々。原住民に代わる労働力として大量に送りこまれ、18世紀の終わり頃には人口の90%近くを黒人が占めたといいます。
砂糖ができると、ラム酒もできる
さて、この話がどうラム酒と関係してくるのか。物語はこうです。さとうきびから砂糖をつくる過程で、結晶化したものだけが砂糖として商品になります。しかし、成分の中には結晶化しないで残る「糖蜜」と呼ばれるどろどろの液体があり、これこそが一般的なラム酒の原料なのです。砂糖を取り除いたあととはいえ糖分が豊富に含まれ、これをアルコール発酵させ蒸留したものがラム酒となります。このラム酒、上流階級の飲み物というよりかは、プランテーションで働く奴隷たちのいわば栄養ドリンクのような形で支給されていたとか。陽気なイメージのあるラム酒ですが、その背景には過酷な歴史があるのです。