記事とは客観的に書くものである。それがもの書きたるものの鉄則。もちろん味や感想を端的に記すことはありますが、過度の私情を盛り込まずに事実を述べるのが基本中の基本です。しかし、私が今回ほぼ私情のみで書いてみたいと思った特異な題材があります。ハワイ島コナ産の塩「コナディープシーソルト」がその商品です。
甘みさえも感じる天然海塩
初めて口にしたとき、驚いて目をむきました。もう、ただただめちゃくちゃおいしいのです!「ミネラル豊富」「ハワイのきれいな海水からつくりました」などの美辞麗句はあれども、そんな理屈抜きに本能的にすばらしくおいしい、私にとって脅威の塩だったのです。舌にのせれば、どこか甘みさえも感じさせる旨みをもってじわりと溶け、噛みしめればさくさくと程よい軽さで結晶が砕ける。海の良心をぎゅっと集めて、それを気負わずじつに軽やかに仕上げた、そんな印象のナチュラルシーソルトなんです。
900年の旅経てハワイへ
理屈はいらない、と言いつつもひとまず基本的なご説明を。製造されているのはハワイ島西岸のコナエリア。沖合約670mの深海からくみ上げた海水を原料にしています。この海水、じつははるか遠くグリーンランドから旅してきたもの。ミネラルを多く含み重量のある海水は、沈んで海底の海流に乗り、じつに900年かけてはるばるハワイまで到達するのだといいます。他のミネラルが豊富な分、含まれる塩化ナトリウムは通常の食卓塩のなんと3分の2。同じ分量を使用しても、減塩になるというのはなんともうれしい特典です。
お塩二刀流のススメ
どんな料理に使っても、すばらしい仕事をしてくれるこのコナディープ シーソルトですが、少々値が張るのも事実。ならばそのおいしさを最も享受できる方法でいただきたいもの。おすすめは、塩の粒をそのまま舌の上で感じられるお料理。野菜やお刺身などに直接パラパラと振りかけてオリーブオイルをひと回しすれば、滋味深いお塩がリズミカルに舌のうえで花開いてなんとも美味。お肉に使う場合も、私は食べる際の「付け塩」として使っています。もちろん、下味も食べる際も両方コナディープ シーソルトを使ったらおいしいことに間違いはないんですが…。普段使いの安価な塩と、ここぞ!というときに使用するコナディープ シーソルトの二刀流でお料理をしています。この方法ならコナディープ シーソルトの減りも穏やかなので、お財布とにらめっこする必要もありません。
たかが塩、されど塩。使い方をちょっと工夫すれば、毎日の食卓が豊かに華やぎますよ。
photo by Kona Sea Salt