前回その引き継ぎ劇をお伝えした、カウアイ島「アンティリリコイ」の新オーナー・メリッサ。彼女はハワイの生まれではありません。では、どんなきっかけで移住を?いまにつながる彼女の半生をご紹介します。
上海のイングリッシュティーチャー
メリッサの出身は、マサチュセツ州ボストン。クラムチャウダーやロブスターロールが名物の、アメリカ東海岸北部に位置する歴史香る街です。
「大学はフィラデルフィアで、スペイン語を勉強したわ。そのあとペンシルバニア大学の上海校に入学。世界中のいろいろな文化に触れるのが大好きなの!」
卒業後、上海の大学で英語を教える仕事を見つけたメリッサ。その後テレビ局で広報の仕事をしながら、中国での生活を7年間続けました。
立ち寄りハワイ
もともと両親には、いずれアメリカ本土に戻って就職すると伝えていた彼女。帰国しようとしたときに、空軍勤務を終えた叔父のいるハワイに立ち寄ることにしました。
「そうしたらもう…これが最高で! 世界中のおいしい料理はあるし、ビーチはあるし、夕日はきれい。私スキューバダイビングをすることもあって、一発でハワイが気に入ちゃったわ」
その後一度は本土に戻りましたが…
「カウアイで仕事があるって連絡を受けたの。おじさんに相談してみたら、カウアイはものすごく田舎だからどうかな、って。まあ、だめだったら帰ってくればいいやくらいの気持ちで来たのが最初。29歳のときよ」
混ざり合って、文化を成す
人口6万人少々の小さな島にやって来た、ボストンのシティガール。
「全然飽きたりしなかったわ!カウアイのすばらしいところって、島自体はすごく小さいんだけど、世界中からいろんな人が来てくれるところ。島民も精いっぱいおもてなしするわ。それも、本当にご近所さんにお迎えするくらいの感覚で。オアフと違って巨大高層ホテルもないしね(笑)」
その後、冬は氷点下を記録する極寒の地、カナダ・エドモントンから移住してきたご主人ジムと出会い、男の子にも恵まれました(写真)。
「真のハワイってなんだろうって考える時、もちろん伝統的なポリネシア文化もあるけれど、世界中から移住してきた人たちの文化を、お互いが許容し、混ざり合っているところだと思うの」
ハワイの成り立ちを自ら体現するかのような彼女の人生。前向きな決断を積み重ねた先には、その人にしか見られない世界が待っているのです。
photo by Aunty Lilikoi