2018年にハワイ島で起きた大事件といえば、キラウエア火山の噴火。5月に始まり、落ち着くまでにはじつに4、5カ月もの期間がかかりました。そもそもキラウエアは1983年以来ずっと活動中の火山ではありますが、今回の噴火の影響は非常に大きなもの。避難勧告で移動を余儀なくされた住民がいたことももちろんですが、勧告地域は島の一部だったにもかかわらず、風評被害で観光客は激減。ハワイ州経済に大打撃となりました。
火山がコーヒー農園にもたらしたもの
島の西側で育てられるコナコーヒー、そして近年注目が高まりつつある、南東部が産地のカウコーヒー。ハワイ島を代表するふたつのコーヒーといえるでしょう。そのコーヒー農園にも、噴火による多大な影響がありました。噴煙だけでなく、特にコナエリアでは火山から出るスモッグ状の霧「vog(ヴォグ)」(「volcano(火山)」と「fog(霧)」からの造語)が太陽の光をシャットアウト。コーヒーの木の生育を妨げたのです。さらに降り注ぐ灰は酸性で、土壌の環境を変えてしまうこともあるといいます。
自然と、農家と、コーヒーと
「火山によりひどいストレスを受けた木は、著しく元気を失った状態。まずはしっかりと休ませ、栄養を与え、木を強くすることに注力しなければならないの」。カウで農園を営む、「ラスティズハワイアン」のジョアン・オブラがそう教えてくれます。木が完全に復活するまでは、翌年以降の収穫量も多くは望めないそうです。そうなれば当然価格は上昇。もちろん、これは喜ばしいことではないですが、自然と共にある農産物にはついて回る運命。現地の状況を知ろうとさえすれば、単に値上げに困った顔をするだけでなく、ジョアンたちのようなファーマーを応援するきもちが生まれるようにも思います。