2020 06.02 tue

楽園ハワイの別の顔
製造業が抱える
憂慮すべき現実

Another Face of Paradise Hawaii
Manufacturing Industry Faces
Worrying Reality
AUNTY LILIKOI

パッションフルーツを使ったアイテムで人気のカウアイ島のブランド「アンティリリコイ」が、先日4月18日にワイメアのお店を閉じました。パッションフルーツをそのままぎゅっと閉じ込めたかのようなジャムやシロップ、スパイシーな中にフルーティな酸味が際立つマスタード、ドレッシングは、ロコはもちろん世界中からハワイを訪れる観光客、そして日本人からも大人気の味でした。

あと10年若ければ

クローズの連絡を受けたのは、3月29日。ハワイ政府が州全体で新型コロナウイルス対策のためのロックダウンを宣言した3月25日から数日たったときでした。
「主人のトニーと、ものすごい時間を話し合いに費やしたわ」
オーナー夫妻の奥様、ローリー・カルデナスのメールは、パソコン画面の無機質な文字からも感情があふれ出てくるようでした。夫妻は60代です。
「私たちがあと10年若かったらね、もう少しがんばって今の状況を乗り越えようって思ったかもしれない。でも現状ではこの決断が、私たちにとっては一番しっくりくるものだったの」

楽園ハワイのもうひとつの顔

あまり知られていませんが、ハワイには存続の危機を迎えている製造業がたくさんあります。観光業による経済成長はすばらしいですが、その影響もあり土地代や人件費は高騰。大きな値上げは難しい食品製造業は、とても苦しい状況に置かれています。さらに、政府も観光業ばかりに目が行きがちなため、製造業に対するサポートは若干少な目。日本でも同じことがいえますが、跡継ぎ不足も危惧すべき問題です。

天使は突然現れた!

ロックダウン前から状況を注意深く観察し、時短営業。従業員の生活を守りつつ、ロックダウン後も必要不可欠な食料品製造業として必死に営業を続けていた夫妻。こんな終わり方ってあまりにも…と、少々どんよりした気持ちでいると、思わぬ知らせが届きました。
「クローズに向けて在庫処分の販売をしていたとき、ひとりの天使が店にやって来たの。『アンティリリコイのない世界なんて想像できない!』って」
???
「同じ店で、同じスタッフと、同じアイテムを生産したいと言ってくれているわ。彼女は島ではほとんどの人が知る存在。近いうちにご紹介できるのを楽しみにしています」
なんと、アンティリリコイを引き継ぎたいという島の住人が現れたというのです! このエキサイティングなドラマの続きは、続報が入り次第ご紹介したいと思います。

BRAND ブランド紹介

AUNTY LILIKOI
アンティリリコイ カウアイ島

カウアイ島・ワイメアにある、約30年の歴史を誇るファクトリー。ハワイで「リリコイ」と呼ばれるパッションフルーツのジャムやシロップ、マスタードなどを製造し、多くのファンに愛されています。近年はSofiアワード、世界マスタードコンペティションなどさまざまなコンテストで賞を獲得。世界中にその名を知られる大人気ブランドです。