ハワイの塩をとりまく、カルチャーがおもしろい――。
前回の記事でその半生を紹介した「シーソルトオブハワイ」のオーナー、サンドラ・ギブソンの言葉です。この文化的背景こそが、彼女がブランドを立ち上げるきっかけのひとつになったのは前回お話した通り。今日はその興味深いストーリーについて掘り下げます。
塩の使い方、女神の指南
古代から、塩はハワイの人にとって特別な存在。島に伝わるこんなお話があります。
昔むかし、若い女性がカウアイ島の西の海岸で釣りをしていました。この日は大変たくさんの魚がかかり、彼女の家族が食べきることのできる量をはるかに超えてしまっています。せっかくの海からの恵みを無駄にしてしまうかもしれない、そう思った彼女は思わず泣き出してしまいました。するとこの泣き声を聞いた火の神ペレが彼女に同情。「虹に沿って山から海へと向かえば、潮だまりを満たす白い結晶を見つけるでしょう。それを魚にすり込めば、魚を保存することができますよ」。こうしてペレは、塩の使い方を伝授したという伝説です。
関係性を深めましょう
塩はハワイにおいて、儀式などでも使われる神聖な存在でした。出発するカヌーの安全を祈り、塩を使って清めるということも伝統的におこなわれてきたといいます。
「ハワイ語に『パアカイ』という言葉があるんだけど、『パア』は『固める』、『カイ』は『海水』。つまり直訳すると『海を固める』。これがハワイ語で『塩づくり』を意味するの」
サンドラが教えてくれます。そんな由来から、塩の贈り物には「関係性を強くする」という意味が込められるのだそうです。
結婚式か、葬式か?
そういった背景もあって、ハワイでは結婚式のギフトとして塩がよく用いられるのだそう。
「でも、日本では塩はどちらかというと…お葬式で配られるものなんでしょう?」
サンドラが恐る恐る聞いてきます。確かに! 参列者にお清めの塩は配ります! でも、それだけじゃないよ!と一生懸命説明します。神聖なものとして、お酒と一緒に神様にお供えだってするし…。でもそうやって考えてみると、それぞれの文化の中における塩の役割って、とても興味深いものがあります。
モロカイ島とハワイ島コナで採取されるピュアハワイアンソルトをベースに丁寧につくられるシーソルトオブハワイのお塩。味わう際には、その背景にあるいろいろな物語にも思いを寄せてみてはいかがでしょう?