「ハンドピックで丁寧に収穫しました」
そう言われて嫌な気がする人はないでしょう。コーヒー豆製造のために収穫される、コーヒーチェリーのお話です。でも、手摘みだと何がいいのでしょうか? マシンによる収穫作業では、何かが劣るのでしょうか? うたい文句の聞こえの良さに惑わされず、ちょっと本質を掘り下げて考えてみましょう。
赤い実はいっきに熟さない
コーヒーチェリーの難しいところは、枝の果実が同じタイミングで熟さないこと。冒頭の写真の通りです。これから花が咲く白いつぼみとつぼみの間にコーヒーチェリー。しかも、未熟な緑の実と熟した赤い実、さらには半分赤くなった実も確認できます。収穫するのは赤く熟した果実のみ。そうなると、人の目で確認して収穫するのは理にかなっているように思います。それもひとつ真実。
畑がどんな地形なのか
また、日本でも人気の高いハワイ島のコナコーヒーは、傾斜のきつい場所に畑を構えている農園も多数。さらには火山由来のごつごつとした溶岩土壌で、とても大きなマシンを稼働させられるような環境ではありません。このような場所ではチョイスはひとつ、ハンドピックということになるでしょう。
手摘み vs マシン収穫
では、機械による収穫というのは実際どういうものなのでしょう。アメリカ本土ではもともとブルーベリーの収穫使う特別車を使ったりします。ちょうど洗車機のような大きなブラシが左右に取り付けられたマシンで木を挟み、細かく揺らすことによって落としたチェリーをマシン下部の受け口で回収します。木についた実の成熟具合を見て、スタッフがマシンの強さを調整するのだそうです。多少未熟な緑の実も一緒に収穫されてしまいますが、収穫後にきちんとソートがかけられます。
つまり、最終的にコーヒー豆として加工されるのは、すべて赤く熟したコーヒーチェリー。その収穫方法こそ違うものの、どちらのフィールドでもワーカーが一生懸命働いて得られる汗と努力の結晶なのです。