「カウアイ島で最初の現金取引を採用したお店はうちだったの」
のんびりとした島のクッキー屋さんのお話を聞きに来たつもりが、「カウアイクッキー」のアン・ハシサカが語る内容は、なんだかビジネス番組にでも取り上げられそうなストーリーです。
カウアイの商売を変えた「川上商店」
ほかの多くの日本人移民のようにさとうきび畑で働いたのち、アンのおじいさん兄弟は、1925年にワイメアで「川上商店」という雑貨店を始めました。それまで信用取引だった島の商売のなかで、初めて現金取引を始めたのがこの川上商店だといいます。1934年にはハナペペにも2店舗目がオープン。これが現在カウアイ島で8店舗を展開する大型スーパー「BIG SAVE」の前身だというから、川上商店おそるべし、です。
お店のデザートとしてクッキー登場
アンの両親はハナペペの店舗を運営し、家族で店の奥に住んでいたといいます。やがて雑貨に加えて食料品も扱うように。そこでお客さんに出すためにアンのお母さん、メーベル・ハシサカ(旧姓:カワカミ)が焼き始めたのがカウアイクッキーの始まりです。
「12歳くらいからお店を手伝っていたわ。箱詰めだったり。そのころ出していたお寿司やお弁当づくりも。朝6時半からお寿司を巻いていることもあったわね」
当時のクッキーは、ビニール袋に入れて口をねじって止めただけ。それをケーキボックスに入れて販売するのを、多くの人が待っていたといいます。やがて完成したオリジナルパッケージには、「ココ」と「クイポ」という男の子と女の子のクッキーのキャラクターが。その素朴で愛らしい空気感は、現在つくられるクッキーにもしっかりと受け継がれています。