秋は、ハワイ産コーヒーの収穫まっただ中。常夏のイメージのハワイでも、1年中コーヒー豆が収穫できるわけではないのです。人気のコナコーヒーも、例に漏れず。今回はこのコナコーヒーにスポットを当ててみましょう。
「お粉のコーヒー」?
ハワイ島西部に位置するコナ地区。コナコーヒーは、「コナコーヒーベルト」と呼ばれる、フアラライ山麓約50kmにわたるエリアで育てられています。火山由来の肥沃で水はけのいい土壌、適度な日照と雨量がコーヒー栽培に最適。以前「お粉のコーヒーくださる?」なんてチャーミングな勘違いをされている方に出会ったこともありますが、コナコーヒーの「コナ」は地名です。
10%入っていれば、コナコーヒー?
以前の記事でもご説明しましたが、まず注意したいのは「コナ100%」と「コナブレンド」があるということ。アメリカではたった10%コナが含まれていればコナブレンドと名乗れてしまうのです。毎日飲むからリーズナブルなチョイスを、とわかったうえで購入するなら問題ないですが、しっかりとコナ味わってみたいのならば100%を選ぶのがおすすめです。
味わいをどう形容するか
「コナコーヒーはどんな味ですか?」。この質問を本当によく受けます。「酸味がある」「濃厚」「フルーティ」…。味わいを形容する言葉はメディアにあふれていますが、これらを鵜呑みにする前に、まずはこのコーヒーがどのように栽培されているのかを理解する必要があります。というのも、ひとくちに「コナコーヒーベルト」といっても、その長さは約50km。さらには畑の標高も300m程度から約600mとさまざまで、気候はそれぞれ異なります。標高が高いほうが雨が多く、寒暖差が大きいので味わいが複雑になるとも。対して低い畑の豆は、なめらかでスムースな味わいをもつという意見もあります。
毎年のお楽しみ
そして忘れてはいけないのは、コーヒーは農産物であるということ。「今年のワインの出来はどう?」という会話が楽しまれるのに、コーヒー豆に対しては常に一定の味わいが求められているとしたら、それはナンセンス。ハワイでいえば、火山の噴火もある、ハリケーンが来ることもある。そんな1年を経て今年のコーヒーがどんな味なのか、それは皆さんで実際に味わって、そして楽しんでみてほしいのです。それに豆本来の味はもちろん、焙煎、淹れ方でもフレーバーは魔法のように変化しますしね。