2019 10.15 tue

マウイのジャム屋さん
ジャン・ヨコヤマの
秘密のレシピ

Lemon Is the Key
Jan’s Secret Jam Recipe
MAUI UPCOUNTRY JAMS AND JELLIES

常夏のイメージが強いハワイ。しかし、きちんと季節が存在します。夏と冬との温度差はほんの5度前後ですが、11月から4月の冬は雨季、5月から10月の夏は乾季。ですから、季節ごとに収穫できる農産物もさまざまです。

実りの秋

マウイ島、ハレアカラ山麓の高原地帯クラでジャムやシロップをつくる「マウイアップカントリー」のジャン・ヨコヤマの畑では、9月から10月がフルーツ収穫の最盛期。さまざまなくだものがたわわに実ります。
「リリコイ、マンゴー、グアバ、ラズベリー…。もうそろそろポハも収穫できるわね」
「リリコイ」はパッションフルーツ、「ポハ」はほおずきを意味するハワイ語です。

欠かせないのは、酸っぱいあいつ

ジャムやシロップで主役を張るようなフルーツのほかに、とても重要なのがレモンです。この時期ジャンの畑では、写真のようにあふれんばかりにメイヤーレモンが実を結びます。
「レモンにはたいせつな役割が2つあってね。さわやかなフレーバーを加えて味を調えることと、もうひとつは、pHを調整することなの」
急に話が理科室っぽくなってきました。

ナンバー「4」がカギなんです

pHとは、酸性・アルカリ性の度合いを0から14の数字で示したもの。数字が小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性となります。保存食であるジャム類は、このpHと糖度を一定の数値に調整することがとても重要。これによって賞味期限を保つことができるのです。
「うちでは、pH値は『4』になるようにレシピを考えているのよ」
酸っぱいレモン果汁は酸性。メインのフルーツ自身がもともともっている酸を考慮したうえで、最終的にpH4に着地させるのです。

キャッチコピーに惑わされない

ここまでお話してきましたが、じつは商品に使うすべてのフルーツが、ジャンの畑で育てられているわけではありません。
「畑のフルーツは、全部手摘みで収穫して、皮をむいて加工する。商品に使うだけの全量を、そこから賄うのはちょっと難しいわよね」
足りない分はほかから購入。その中で、より良い商品を作り出すべく努力しているのです。
「ジャムの粘度を増す『ペクチン』も購入したものを使っているわ。でも、全部フルーツ由来のペクチンよ」
すべてが自家農園から収穫した材料じゃない、ジャムにはペクチンが添加されている――。字面だけを見るとマイナス要因のようにも感じますが、その文章の裏側にあるリアリティに目を向けていければ、と思うのです。

この商品にまつわる出来事

BRAND ブランド紹介

MAUI UPCOUNTRY JAMS AND JELLIES
マウイアップカントリー マウイ島

マウイ島、ハレアカラ山麓のさわやかな高原エリアにある小さなジャム工房。畑で育てるフレッシュフルーツを中心とした素材を使って、ジャン・ヨコヤマがジャムやシロップ、マスタードなどをつくっています。彼女のキッチンで手づくりされる商品の数々は、くだもの・野菜本来の味わいを生かしたどこか懐かしい素朴な風味です。