Beer Labの社長であるニック・ウォンの話によると、ブルワリーとしてのスタートは2015年だが、その本当の始まりはもっと前に遡る。彼と共同創業者たちが、パールハーバー海軍造船所でエンジニアとして働いていた頃だ。仕事の都合でアメリカ本土をあちこち移動していたが、行き先は大都市ではなく、仕事が終わった後に特にすることもないような静かな場所が多かった。だから自然と、現地のバーに足を運ぶようになった。
そこで印象に残ったのは、場所そのものではなく、ビールだった。
当時はアメリカのクラフトビールブームの真っ只中で、地域ごとにスタイルの違いがはっきりしていた。東海岸のフルーティーでヘイジーなIPAと、西海岸の松のような香りを持つホップの効いたビール。モンタナのモルティなスコッチエール、ミッドアトランティックのスムーズなクリームエール。ハワイに戻ると、そうしたビールはほとんど手に入らなかった。ディストリビューターは扱っておらず、ローカルの味覚もまだそこまで変化していなかった。
そこで出てきた考えは、今振り返るととてもシンプルだ。手に入らないなら、自分たちで作ればいい。

スタートはホームブルーイングから
それがBeer Labの始まりだった。週末のホームブルーイング、うまくいかない実験、友人に配るボトル。それでも変わらなかったのは、楽しいという感覚だった。そして少しずつ、形が見えてきた。
やがて彼らは一歩踏み出す。大きな資金も後ろ盾もない。ただ、自分たちで何かを作れるという確信だけがあった。
最初のユニバーシティ通りの店舗は、そのままそれを表していた。整ってはいなかったが、それで十分だった。古い銀行の中に作られたブルワリーに、シンプルなプラスチック製の発酵タンク。最低限動かせるだけの設備。目標もシンプルで、続けていけるだけの人に来てもらうことだった。
そして扉を開けたとき、すぐにそれ以上の反応があることに気づいた。
今では、ニックの役割は変わっている。初期はすべてに関わっていた。醸造も、バーテンも、その時に必要なことは何でもやっていた。今は方向を決める立場だ。テイスティングをして、調整して、ビールとそれを作るチームの流れを見ていく。
最初にあった好奇心は、今も変わらず残っている。ただ、少し形を変えてきただけだ。ニック自身と同じように、それもまた変化してきた。(次回へ続く)
By Solario (アーティスト、シセロン資格保持者)
※この連載のコントリビューターであり、アーティストでビールのソムリエ・シセロン(Cicerone)の資格保持者でもあるSolarioについては、こちらからどうぞ。
ビールソムリエ・シセロン有資格者多才なソラリオのアートがおもしろい





