僕がハワイに引っ越してきたばかりの頃、Beer Lab(ビアラボ)は自分にとっての「居場所」になった。郵便私書箱が元のユニバーシティ通りの店舗の近くにあって、まだ部屋探しの最中だったあの頃、ワイキキから歩いて郵便を取りに行き、そのついでにビールを1、2杯飲んで帰る、というのが日課になっていた。最初は週に一度だったものが、気づけば週に三回、時には四回になっていた。
ブルワリーには、バーやレストランとは少し違う種類の温かさがある。人はもう少しリラックスしていて、開かれているというか、構えていない。島に来たばかりの自分にとって、たとえ一時間でも、どこかと繋がっていると感じられる場所だった。Beer Labはそのリズムの一部になっていった。
だから、ユニバーシティの店舗が閉店し、新しい住宅開発のために取り壊されると聞いたときは、やはり感じるものがあった。あの場所は、自分がここで暮らし始めた最初の記憶と結びついていたからだ。けれど、Beer Labらしく、それは消えるのではなく、形を変えていった。
その代わりに生まれた新しい場所は、それぞれに個性がある。Puck’s Alley(パックス・アリー)のBamboo Tiger Shop(バンブー・タイガー・ショップ)は、若くてエネルギーのある雰囲気。パールリッジモールのThe Hall(ザ・ホール)は、より賑やかで共有感のあるスポーツバーのような空間。そして、ベレタニア通り沿いにあるフラッグシップのビアガーデン兼ブルワリー。個人的にはここが一番好きだ。カリフォルニアにいた頃の屋外型ビアガーデンを思い出させる、開放的で、肩の力が抜けた空気感がある。さらに、ローカルアーティストによる数々の壁画が加わることで、この場所ならではの雰囲気が生まれている。
こうした変化の感覚 ― 成長し、適応し、自分たちの形を見つけていくこと。それこそがBeer Labの核にあるものだと思う。そしてその考え方が、ビールそのものや、それを作る人たちにどう表れているのかを知りたくて、創業者のニック・ウォンに話を聞くことにした。(次回へ続く)

By Solario (アーティスト、シセロン資格保持者)
※この連載のコントリビューターであり、アーティストでビールのソムリエ・シセロン(Cicerone)の資格保持者でもあるSolarioについては、こちらからどうぞ。
ビールソムリエ・シセロン有資格者多才なソラリオのアートがおもしろい





