ハワイ産カカオを使った高品質なチョコレート作りに情熱を注いできたマノアチョコレートオーナーのディラン・バターボーさん。これまでも、実際にカカオ農園を巡ってその目でカカオのクオリティを確かめてきました。
カカオ農園の近くでチョコレートを作れる、ハワイの奇跡
「僕たちが特別なのは、ここハワイでカカオを栽培でき、チョコレートも自分たちで作れるということなんだ。通常、チョコレート工場では遠い場所(外国)からカカオを仕入れるんだよね。工場で働く多くの人って、普通はカカオの木を見たこともないはず。でも、ハワイには素晴らしいカカオ農園があり、僕らは工場をオアフ島に構えているわけで。つまり、実際にどんな農園で誰がどうやってカカオを育てているかを知っている。カカオが乾燥しているところも発酵しているところも、実際に見ているし、それらの品質向上のための取り組みも直接できるんだ。これってすごいことだよね」とディランさん。
たしかに。
そして、マノアチョコレートはついに、長年の夢だった「直営カカオ農場」を持つまでに成長しました。それがオアフ島ノースショアの「カマナヌイ農園」。オアフ島で最も高い山、カアラ山のふもとに位置し、肥沃な土壌を有するハワイ独特の自然環境。そこにマノアチョコレートの哲学が生かされ、様々な品種のカカオが栽培されています。
「雑草に囲まれた山を切り開き、通路を整備し、井戸を掘って…。すごく大変な思いをしたけれど、この自然の恵みは最強だった。何度も失敗を重ねながら、どんな勾配でどんな品種ができ、この土壌に一番適した種はなにか、探りながらカカオを育てているよ。農薬や化学肥料の使用を最小限に抑え、可能な限り有機的な方法を模索している。生態系の保護も大切にしてね」。
「Bean to Bar」を超えて「Tree to Bar」へ
この農園でのカカオ収穫時期は、11月〜5月頃。タイミングを見計らいながら、カカオポッドを手で収穫するのだそう。ひとつずつ丁寧に実を切り落としていく感じ、コナコーヒーみたい(コナコーヒーの実もすべて手摘みなんです)で愛おしい。
カカオポッドの中にはいくつかの種子が入っていて、それを発酵させ、乾燥、さらに焙煎へと進んでチョコレートが作られていきます。概算ですが、ひとつのカカオポッドから1枚のチョコレートバーができる計算かな、とディランさんが教えてくれました。
最近話題のクラフトチョコレートは、「Bean to Bar」(カカオ豆からチョコレートバーまで)を目指しているけれど、マノアチョコレートの場合は「Tree to Bar」(カカオの木からチョコレートバー)。
ここまでこだわれるのは、ハワイという恵まれた場所に拠点を持っているからこそ。なんですよね。

誕生!「直営農園カカオのチョコレートバー」
2024年冬、「カマナヌイ」のカカオだけで作ったシングル・エステート・チョコレートが初めて完成。ディランさんの弟であるカーソンさんがパッケージのアートワークを担当しているのも素敵です。
フルーティな香りと芳醇な味わいを楽しめる、「カマナヌイ」のチョコレートバー。これはもう、ディランさんたちのこだわりが詰め込まれた、圧倒的な1枚と言えるでしょう。
ちなみに、カマナヌイ農園では見学ツアーも行っているそう。ご興味のある方は、マノアチョコレートのウェブサイトからお申し込みを。