「母方の祖父はポルトガルから1883年に来たんだ。さとうきび畑で働くためにマウイ島のラハイナへ。父はフィリピンから。来る前に英語教育を受けていたから、英語とフィリピン語の両方をしゃべることができて、すぐに出世したっていう話だよ」
ソーセージメーカー「アンクルルイ」のケン・エンリケスが、ゆっくりとした口調でファミリーヒストリーを教えてくれます。
モーニングには、ポルチュギーズソーセージ!
アンクルルイは、ハワイのモーニングプレートには欠かせないスパイスたっぷりの「ポルチュギーズソーセージ」で人気のメーカー。太めのソーセージを斜めにスライスしたものをグリルすれば、トーストや卵との相性は抜群です。1991年の創業以来ファンを増やし、いまではハワイの有名レストランやホテルにも採用されています。
廃業からの再出発
もともとは、1980年に食肉加工のビジネスをスタートしたケン。当初の売り上げは好調でしたが、島内に大型スーパーができ始めてからは右肩下がり。やむなく会社を閉じたそうです。
「従業員は私と妻のふたりだけになった。そこからソーセージに特化することにして、アンクルルイを始めたんだ。ほら、単にカットした肉を売る、というのに比べて、ソーセージ作りならオリジナリティを出せるだろう?」
最初の会社を閉じたときに、君のために棚を空けて待っているよ、と言ってくれた地元商店のオーナーが何人もいたそう。彼らの助けもあって彼のソーセージはロコの人気を博し、ハワイ中で愛されるようになっていったのです。
ところで…「アンクルルイ」って、誰?
「みんなそれを聞くんだよね(笑)」
ブランド名の由来を聞くと、ケンは気恥ずかしそうにそうぼやきます。
「アンクルケン、も考えたけど、どうにもしっくりこなくて。アンクルルイ、ならなんか響きがいいなぁ、と。ルイおじさんは、残念ながら実在しない、架空の人物だよ(笑)」 そう言って笑うケンはやさしく穏やかですが、その裏に秘めた情熱をもつからこそ、多くの人に愛される味を生み出すことができるのでしょう。