前回の記事でご紹介したのは、パイナップルから作られる「パウマウイウォッカ」。それだけでも十分おいしいのですが、このパイナップルの蒸留酒と、本場のバーボンをブレンドしたブレンドウイスキーがあると聞いたら、試してみたくなりませんか? マウイ島の蒸留所「ハリイマイレディスティリング」が誇る、「パニオロウイスキー」です。
正真正銘、3年熟成
彼らが使うバーボンは、本場ケンタッキー州から仕入れるもの。
「残念ながらハワイでは大麦、小麦、ライ麦、とうもろこしっていう、バーボンの原料になる穀物が栽培されていない。なので、原料を輸入してここでウイスキーを一からつくるっていうよりかは、間違いないバーボンを取り寄せることにしたんだ。3年熟成のものを仕入れているよ」
主任蒸留士のコーリー・ニグバーがそう教えてくれます。
ブレンド。そしてさらに時を刻む
このバーボンを60%、そしてマウイゴールドパイナップルからつくったウォッカを40%。贅沢にブレンドして、さらに1年から2年熟成させます。
「ハワイっていっても、季節がある。気温が高いほうが熟成が進みやすいから、夏の時期は早いね。冬の間だったり、雨が続いて寒い時には、ゆっくりになるよ」
熟成に使用するのは、バーボンづくりに使用されていたアメリカンオークの樽。
「ケンタッキーから仕入れたときにバーボンが入っていた樽を、ブレンド後の熟成に使っているんだ。バーボンづくりに10年使用された樽を使っているよ」
これはもう、おいしくないわけがありません。
コーリーのとっておき
「じつは、将来ちょっとやってみたいことがあって」
コーリーがちょっと声をひそめながら教えてくれます。
「マンゴーツリーとかキアヴェとか、ハワイならではの木からつくった樽を使えないかな、って」
オーク樽の中でじっくり3年熟成したバーボンが、パイナップルウォッカと一緒になって、そこからハワイの木の樽でさらに熟成される――。考えただけでわくわくが止まりません!
「まずは、いま使ってるアメリカンオーク樽の中に、マンゴーやキアヴェの木のチップを漬け込むことでトライしてみようかと。もちろん最終的にはハワイアンウッドでつくった樽を使いたいけど、樽づくりって職人技だから。まずははハワイで良い職人さんを見つけるところから。漏れたりしたら大変だからね」
そんなすばらしいお酒はぜひとも1滴たりとも逃さずボトル詰めしてほしい! 切に願いながら、コーリーの夢の1日も早い成就を祈るのです。