写真の花、ご覧になったことはありますか?
和名で「トケイソウ」と名のついたこの植物、果実は「パッションフルーツ」と呼ばれます。代表的な花言葉は「聖なる愛」。今日は、そんなパッションフルーツのお話をしたいと思います。
ところ変われば呼び名も変わる
パッションフルーツの「パッション」、じつは「Passion=情熱」という意味ではありません。同じつづりの異義語、「(キリストの)受難」を意味します。花の形状が十字架を彷彿させることから「パッションフラワー」と呼ばれるようになり、その果実が「パッションフルーツ」というわけです。ちなみに和名の「トケイソウ」も同じく見た目から名づけられていますが、ところ変われば受け止め方もだいぶ変わるものですね。
そんな由来をもつゆえ、花言葉は「聖なる愛」という次第。ハワイでは「リリコイ」と呼ばれるポピュラーな食材で、スイーツや加工品の原料としても広く使用されています。特に砂糖、バター、卵などと煮詰めてつくるスプレッド「リリコイバター」は、おみやげとしても大人気です。
種ごと、ちゅるり!
世界中に数百種あるといわれるパッションフルーツ、ハワイで一般的なものは表皮の黄色いタイプで、力強い酸味が特徴。ほかに紫色の果実も見かけますが、これは日本国内・沖縄で栽培されている種の仲間です。食べ方は、半分に切ってゼリー状の果肉と種をいただくのが王道。お行儀良くいく場合はスプーンを使いますが、ハワイでは枝からもいで、割って、そのままちゅるりとすすってしまう、なんていうロコが多いです。
リリコイとハワイ、実際のところ
ハワイで栽培している場所も見かけますが、じつは加工にとても手のかかるパッションフルーツ。中の果肉を種と選り分けるだけでも大変な作業です。近年、土地代と人件費が高騰しているハワイでは、リリコイ製品の原料に他国から冷凍ピューレを輸入しているメーカーも少なくないのが現実。しかし、そのこと自体を良し悪しで判断するのではなく、ハワイの農産業の現実として、いま起きていることを知ろうとすることはとても大切だと思うのです。