中心の茎の先にぽこっとついた黄色い実。初めて見た方は皆驚きますが、パイナップルはこんなふうに育ちます。最初は小さなピンク色のベイビーパイナップルから始まり、徐々に大きく、日の光を浴びて黄色く成長するのです。
ふるさとは南米
パイナップルの原産地は、ブラジルやパラグアイなどの南アメリカ。現在私たちが目にするものは、食用のために改良の重ねられた品種です。マウイ島で育つマウイゴールドパイナップルもそのひとつ。1930年代、ハワイでパイナップルの缶詰が一大産業だったころの研究のなかで生まれた、生食でおいしく食べられる改良品種がベースとなっています。
3世はちょっぴり小粒
マウイゴールドは、植え付けから最初に実をつけるまでに18カ月もの年月を要します。このファーストパイナップルの収穫ののち、2回目、3回目とだんだんと実をつけるまでのスピードはアップ。しかし実のサイズは徐々に小さくなっていきます。パイナップル3世は生食用として販売するには小さすぎるため、絞ってジュースに加工。畑のすぐ隣にある蒸留所「ハリイマイレディスティリング」では、これを使ったパイナップルウォッカ、パイナップルウイスキーを製造しています。
パイナップルの苗?
ところで、パイナップルの植え付けって、どうやって行われているかご存知ですか? じつは種ではなく、パイナップルの木の新芽の部分を苗のように植えるのです。「クラウン」と呼ばれる実の上の葉の部分を植えても育ちますが、新芽のほうが結実までの期間が短くてすむといいます。
「ポリネーター」のお話
でも、そもそもパイナップルの種って、あまり見たことないですよね? それもそのはず、一般的に販売されているパイナップルは受粉していないので、種ができることもないのです。多くのくだものは受粉しないと実がつきませんが、例外もいくつか。パイナップルはこの「単為結果性」と呼ばれる、受粉なしでも実を結ぶくだもののひとつなのです。ポリネーター(受粉を助ける生きもの)というとみつばちを思い浮かべますが、パイナップルのポリネーターはハミングバード(ハチドリ)。ハワイにはこのハミングバードが生息していないのです。なんだかちょっぴりかわいそうな感じもしてしまいますが、種がつかなかった分だけ果肉に栄養たっぷりのパイナップル、ありがたくおいしくいただきましょう!